Kai / Yagull

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Release : 2014/11/21

Genre : Acoustic / Jazz / Chamber Rock

Samples : bandcamp

Tracklist :

1. North

2. Dark  ★オススメ

3. Heiwa

4, Blossom

5. Mio

6. Wishing Well

7. Burn

8. Sound Of M

9. Z-Parrow

10. Kai

11. Omniprism

12. Oyasumi

ニューヨークを拠点とするアコースティック/チェンバーミュージック・プロジェクト、Yagullの2014年最新作。これからの季節に必携の一枚です。

本プロジェクトは元々、セルビア人作曲家兼ギタリストのSasha Markovicが発足させたプロジェクトで、前作「Films」ではSasha以外にもLori Reddy(Flute)、Eylon Tushiner(Sax)、Sonia Choi(Cello)等を迎えた布陣で薄暗くもアダルト・コンテンポラリーな魅惑を感じさせる非常に質の高いチェンバーミュージックを披露し、ジャズやプログレといった方面から世界的に高い評価を得ました。そして本作を制作するにあたり、Sashaはもう一人のメインコンポーザーとして自身の妻でありピアニストの上坪可奈を迎え入れ、DUO体制として新たなスタートを切った模様です(両名の詳細なプロフィールはこちら)。メタラーの間ではDream Theaterのあの2名が通っていた事で有名なバークリー音楽院を主席で卒業したという上坪可奈の本作における存在感は凄まじく、夫Sashaとの息のあったデュエットによるピアノの旋律は、女性らしいしっとりとした美しさと凛とした力強さの両方を兼ね備えています。

また本作においては前作同様に様々なゲストミュージシャンが参加しており、ヴァイオリン・クラリネット・ダブルベース・エレクトリックギター・ドラムス・ハーモニカ等々バラエティー豊かな楽器の音色が各々の楽曲を彩ります。そして前作と決定的に異なるのは当然ですがピアニストの存在であり、上坪可奈の加入によって全体的に薄暗さのあった前作から打って変わって生き生きとした躍動感、生命力と多幸感が印象深い作品となっております。どちらの作風が優れていると単純に比較できるものではありませんが、ピアノの音色が大好物な私にとっては今作の作風の方が好みかもしれません。

前作に収録されていた楽曲もいくつか現体制で収録し直されており、その中でも♯2. Darkは出色の出来。少し潜もったようなピアノの音色が非常に感触の良いノスタルジアを演出していて、躍動感と共に堪らない哀愁に溢れた最高に美しい楽曲に生まれ変わっています。この曲を聴いた時は久しぶりに背筋がゾクゾクしましたし、今年のベストトラックと言って良いくらいにお気に入りの1曲です。

前作が”陰”なら今作は”陽”、そのくらい対照的。この作品からは淡い光と幸せが溢れていて、夫婦の息ピッタリな演奏を聴いているうちに私もほっこりした気持ちになりました。妻である上坪可奈は音楽療法士としての活動も行っているそうですが、まるで彼女の優しさが音楽という形で語りかけてくるような、そんな印象を受けました。日に日に寒さが厳しくなっていくこれからの季節、彼らの音楽の美しさに聴き惚れながらほっこりと過ごすのも良いかもしれませんよ。