The Shakes / Herbert

81fj-a9EClL._SL1500_

Release : 2015/5/27

Genre : Electronic / House

Samples : “Smart”

Tracklist :

1. Battle

2. Middle

3. Strong

4. Smart  ★オススメ

5. Stop

6. Ones

7. Bed

8. Know

9. Safety

10. Silence

11. Warm

12. Peak

13. Maybe (Bonus)

イギリスの電子音楽作曲家 兼 DJのMatthew Herbertによる最新作。”Herbert”名義では「Scale」以来9年振りのリリースとなります。

作品によって多数の名義を持つ彼ですが、その作風は単純なエレクトロ・ミュージックではなく、日常にありふれた音や楽音、電子音、楽曲などをサンプリングして創作される”ミュジーク・コンクレート”という音楽ジャンルに大きく影響されています。洗濯機やトースター、歯ブラシといった日常音を用いたり、「一匹のブタが生まれ、屠殺され食卓に並べられるまでの生涯」までの音をサンプリングした作品まで創作するなど、その個性的な手法とアヴァンギャルドな感性、そしてトラックメイカーとしての才能から高く評価されているアーティストです。

私は恥ずかしながら”Herbert”名義の作品しかまともに聴いた事が無いのですが、ジャズやファンク、ソウルミュージックの素養を感じさせるポップでムーディなハウス・ミュージックとしての彼の作品群はとても気に入っていて、中でも「Bodily Functions」,「Scale」といった作品は今でも良く聴いています。それ以前の作品も古さを感じさせない完成度の高いアルバムばかりで、”Herbertの作品にハズレ無し”と言っても過言では無いかもしれません。またこの辺りのシーンに関しては特に疎いので、シーンにおける彼の立ち位置や出処などはよく分かっていないのですが、収集した様々なサンプリング音を異物と感じさせることなく、良きアクセントとして楽曲に完全に溶け込ませる才能は本当に凄いと思います。

本作では3名のヴォーカリスト含む計9名のゲストミュージシャンが参加しており、全曲がヴォーカル入りのナンバー。作風は前作「Scale」のようにディスコ的なポップ性に振り切れたものではなく、かといって「Bodily Functions」や「Around the House」ほどディープなムード感を重視したものでもありません。前半こそ「Scale」を思わせるファンキーで上品なポップネスが光る楽曲が続きますが、中盤以降はアンビエントサウンドを軸としたミニマルで深遠なサウンドスケープによるアブストラクトな楽曲で占められており、彼なりのポップネスへの着地点とアンビエントとの融合を含めた今後の方向性を模索したような内容となっています。

後半の楽曲群においてやや個性が乏しく感じるものの、ふわふわとしたエレクトロニクスにステップを踏むようなビートが心地良い#8や、アンビエント・テクスチャに乗るドライブ感のあるビートとソウルフルにたゆたう歌唱、ラストの神聖なオルガンの音色が印象的な#12など、これからが楽しみになってくる楽曲も見受けられました。これこそ望んでいたサウンドだ!と膝を叩ける内容ではありませんでしたがクオリティーは高く、次作の発表までじっくり楽しむことの出来る意欲作であることには違いありません。