New Bermuda / Deafheaven

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Release : 2015/10/2

Genre : Post Black Metal

Samples : bandcamp

Tracklist :

1. Brought to the Water

2. Luna

3. Baby Blue

4. Come Back  ★オススメ

5. Gifts for the Earth

米サンフランシスコ出身のポスト・ブラックメタルバンド、Deafheavenの3rdアルバム。

前作「Sunbather」では、従来のバンドカラーであったトレモロリフ主体の仄暗い美しさと暴風のような凶暴性を湛えたポスト・ブラックメタル/ハードコアの音像から、輪郭を暈したノイズギターが主役を務める甘美なシューゲイザー/メタルへと転身。その実験色の強い作風から各方面で物議を醸しつつも、その先進性と圧倒的な完成度でビルボード誌やピッチフォーク、スピン、ステレオガムをはじめとするメジャー・インディーを問わない様々な音楽メディアから高い評価を受け、彼らの世界的な知名度を一気に引き上げた作品でもありました。ちなみに私は1stアルバム「Roads to Judah」の熱狂的信者であり、「Sunbather」を聴いても頭に『?』マークが浮かんでしまうという残念な感性の持ち主であるということを、前置きとしてご承知おきください(笑)

さて、先述したような紆余曲折を経た上での新作「New Bermuda」ですが、まず所属レーベルがWilcoやTom Waits、Kate Bushらが所属するAnti- Recordsへと変わっています。その点から思わず本作の作風が「Sunbather」の方向性を更に推し進めたものなのではないかという邪推をしてしまうのですが、箱を開ければびっくり、あくまで「Sunbather」の延長線上にある音像ながら、「Roads to Judah」でのポストブラックメタル/ハードコア色をも積極的に取り込んだ、ダークで鋭利な緊張感のひしめく作風へと変化していました。

凶悪なギターリフとジョージ・クラークによる絶唱、そして随所に挟まれるクリーントーンのリフレインが奥行きのある暗黒美空間を生み出す#1、鋭利に切り刻む凶暴なアンサンブルの中を、流麗なギターフレーズや叙情トレモロリフが舞う#2、控えめなアルペジオギターが美しいアンビエント調のイントロから、エモーションを爆発させる重厚なアンサンブルへと展開する#3、ポロポロと爪弾かれる哀愁深いアルペジオから一転、なだれ込むブラストビートとノイズギターに塗り潰される中盤、そして終盤には美しい残響を生むギターワークによるノスタルジックなアウトロへと、プログレッシブな展開美が印象的な#4、ポストロック調に展開する静と動のアンサンブルが感動の美旋律を生む#5と、全5曲ながら約46分のランタイムを誇る入魂の内容に仕上がっています。

デビュー作で見せてくれた「Deafheavenの魅力」がたっぷり詰まった本作には琴線に響くメロディーや展開も多数あり、予想よりもかなりツボを突いてくれる完成度の高い好作品でした。また本作を聴いてから前作を聴くと、その卓越したメロディーセンスとプログレッシブな感性の強さに改めて気付かされました。私のように1stアルバムで虜になり、2ndアルバムの良さをイマイチ掴むことの出来なかった方(相当、少数派だとは思いますが…)でも、とても楽しめる内容になっています。前作で彼らを知ったファンから、従来のポスト・ブラックメタルファンまでも納得させる作品を作り上げてしまう、Deafheavenというバンドの恐ろしさを再認識させてくれる一枚です。