Laurestine / So Hideous

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Release : 2015/10/16

Genre : Atmospheric / Post Black Metal

Samples : bandcamp

Tracklist :

1. Yesteryear  ★オススメ

2. Here After

3. Relinquish

4. The Keepsake

5. Falling Cedars

6. The True Pierce

7. A Faint Whisper

米ニューヨーク出身のポスト・ブラックメタルバンド、So Hideousの2ndアルバム。

2008年にSo Hideous, My Love…の名前で結成された彼らですが、2012年までに2枚のEPをリリースした後、2013年にはSo Hideousと改名して活動を開始しています。本作『Laurestine』は現在のバンド名義では2枚目となる作品です。

私が彼らの作品に初めて触れたのは前作『Last Poem/First Light』だったのですが、所謂ポスト・ブラックメタルと呼ばれる音楽の中でもDeafheaven等に代表される苛烈な志向の音楽性で、ブラックメタルやハードコア由来の攻撃的なアンサンブルにメランコリックなメロディーが乗る、かなり激情的な音像でした。彼らの生み出すメロディーはとてもメランコリック且つ悲壮感漂うもので、シンセやストリングスに彩られたダイナミックな音の奔流によって生み出されるそれは感情に直接訴えかける程の力があり、それが彼らのオリジナリティーでもありました。

そんな前作から約2年振りとなる本作ですが、前作を知っている方はまずオープニングチューンであるYesteryearから驚かされることになるでしょう。従来の特徴の一つであった苛烈なアンサンブルはやや身を潜め、ドラマティックなシンセサウンドの膜が張られた非常に構築的でアトモスフェリックな音像へと姿を変えているからです。しかし彼らの”コア”であるダイナミックな美しさを湛えた慟哭のメロディーは、新たな音楽性によってさらに強力なものへと進化しているように思います。ゴシック/ドゥームメタルから現在のポスト・プログレッシブロックへと姿を変えたAnathemaのように、彼らもまた己の音楽性に対して”選択と集中”を行うことによって、更に洗練されたサウンドスケープを会得しているようです。決してAlcestのような音楽性に変化したのではなく、従来の音楽性にメリハリを加えた事によって”深化”した結果であり、彼らのオリジナリティーは一つたりとも失われてはいません。

そんな衝撃のオープニングチューンを越えた後も、本作はまるで一つの楽曲が如く流れるように進行していきます。クリーンなアルペジオギターとオーケストレーションによる壮麗なイントロから、その美しさを保ったまま儚げにフェードアウトしていく#2、悲壮感漂うオーケストレーションの音色を基軸に力を溜めるように進行し、終盤の爆発的なアンサンブルへと繋げるドラマティック・ナンバー#3、大仰なシンセを織り交ぜたメロウなリフレインが光の雨となって降り注ぐ、神秘的なメランコリック・チューン#4、壮麗なシンセサウンドと甘美なノイズギターがシネマティックに木霊する#5、ハーシュヴォーカルとオーケストレーションが激情感と高揚感を強烈に煽る壮大なシンフォチューン#6、多幸感に溢れた光り輝くメロディーが大団円的にクライマックスを彩る#7と、隙間の見当たらない非常に充実した内容です。

ブラックメタルというフォーマットの中で、美しさを極限まで高めた極北の作品。前作から更に一皮むけ、一流バンド達と肩を並べられる土俵に到達しています。所謂”ポスト化”の進んだ本作は、従来のポスト・ブラックメタルファンだけでなく、ポスト・ロックやアンビエントがお好きな方など、幅広い層に支持される一枚となるでしょう。