the shader / agraph

713T2Y4tUpL._SL1500_

Release : 2016/2/3

Genre : Electronica

Samples : “greyscale”

Tracklist :

1. reference frame

2. poly perspective

3. greyscale

4. cos^4

5. toward the pole

6. asymptote

7. radial pattern  ★オススメ

8. trace of nothing

9. div

10. inversion/91

石野卓球や電気グルーヴとも深いつながりを持つ電子音楽家、牛尾憲輔ことagraphの3rdアルバム。

元SUPERCARの中村弘二、フルカワミキ、元ナンバーガールの田渕ひさ子と組んだバンド「LAMA」での活動や、アニメ「ピンポン」の劇中音楽を担当したりなど幅広い活躍を繰り広げている彼ですが、agraphとしての新作は前作『equal』から約6年振り。昔エレクトロニカに嵌りかけていた頃に知ったアーティストですが、新作はもう出ないのではないかと思っていただけに今作のリリースはとても嬉しいニュースでした。

穏やかな静寂の中でメランコリックに鳴り響く電子音が瑞々しかった、所謂”エレクトロニカ”の範疇に収まっていた前作とは異なり、今作ではエレクトロニカだけでなくノイズやアンビエント、テクノ、ネオクラシカルといった要素を綯い交ぜにして更に分解したかのような、崩壊と構築の狭間を行き来するエクスペリメンタルな作風へと変貌しています。黒色のノイズが降り注ぎグネグネと変容していくアンビエントサウンドの中で、彼の持ち味である哀愁深いメロディーが一筋の光として舞うような軌跡を描いていくドラマチックな逸品。私の知る範囲ではOneohtrix Point Neverのような、アートでエクスペリメンタルな電子音楽の台頭を目撃した上でクリエイターとしてのプライドが爆発したかのような、挑戦的で前向きな意志をひしひしと感じさせます。

これまでの彫刻的な美しさだけではなく、聴く度に印象が変わっていくアメーバのような美的感性を体現した実験作であり秀作。往年の作風とはまた違う魅力を見出し、打ち出した過渡期における作品といえそうですが、agraphとしてのアイデンティティーは一ミリも損なわれる事の無い絶妙なバランス感覚には思わず舌を巻きます。

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