The Mercury Tree “Permutations”
Release : 2016/3/30
Genre : Progressive Rock / Experimental
Samples : bandcamp
Tracklist :
- Symptoms
- Exhume the Worst ★オススメ
- Permutations
- Ether/Ore
- Placeholder
- Unintelligible
- Sympathesizer
- Seek and Release
- Prometheist
- Deep Five
米ポートランド出身のプログレッシブ・ロックバンド、The Mercury Treeの5thアルバム。
Ben Spees(guitar, keyboard, vocals)のソロ・プロジェクトとして始まり、今はバンドとして活動している彼らですが、King CrimsonやThe Mars Volta、Tool、Radiohead等をリスペクトしているというアンサンブルは、古典的なプログレッシブ・ロックに加えて、マスロックやポストロック、ポストハードコア、エレクトロニカ/アンビエントまで包含する非常に独自性の高いもの。アバンギャルドでスリリングな演奏から生み出されるのは、極めて美しく叙情的なメロディーの洪水であり、そのギャップこそが彼らの最大の魅力です。前作『Countenance』はそれまでの作品群と比べても輪をかけて素晴らしく、その年のベストアルバムの一枚に選ぶ程気に入っています。
前作から2年ぶりのリリースとなる本作では、更に細分化され変則的に暴れまわるギタープレイとドラミングを中心に、不穏さを煽る奇妙なキーボードの音色やエレクトロニクス、ぐねぐねと這うように蠢くベースリフ、躁鬱的に派手に表情を変化させ続けるヴォーカルと、より実験的でアバンギャルドな表現に重きを置いているように思います。しかし要所で挿入されるクリアなメロディーの美しさはやはり折り紙つきであり、本作のミステリアスな作風も相まってギャップ的な際立ちは更に強烈なものとなっています。
前作と比べるとかなり実験的な作風であるため、私のように前作や前々作等でファンになった方は面食らうかもしれません。しかし耳を傾けて聴けば、その奇妙な音像の中にも彼らの魅力がぎっしりと詰まっている事に気づく事が出来ると思います。傑作ながらプログレッシブ・ロックの範疇に収まっていた前作を踏み越えて、ジャンルを更に大胆に跨ぐエクスペリメンタル・ロックへの野心を見せつける逸品です。
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