Follow My Tracks / やなぎなぎ

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Release : 2016/4/20

Genre : Pops / Rock

Samples : クロスフェード動画

Tracklist :

  1. Follow My Tracks
  2. 春擬き
  3. キャメルバックの街
  4. rooter’s song
  5. パラレルエレベーター
  6. モノクローム・サイレントシティ
  7. オラリオン
  8. 夜天幕
  9. ワンルームトラベル
  10. カザキリ  ★オススメ
  11. 未来ペンシル
  12. ターミナル
  13. どこにも行かない

大阪府出身のシンガーソングライター、やなぎなぎの3rdアルバム。今作は「旅」をテーマに製作されたそう。

インターネット上に限った音楽活動に始まり、現在はアニメ・ゲーム・CMソングの提供やライブツアーなど活躍の場を大幅に広げている彼女。”ポップス”という枠の中で自らの感性と方法論を極限まで詰込んだ前作『ポリオミノ』は、カラフルな彩りが素晴らしい傑作でした。約1年半振りとなる今作では、前半部に”旅”を前にして喚起されるポジティブな感情を表現したような、生音メインの開放的なポップナンバーが配置され、後半部は旅の終わりや別れ、道中の複雑な心象風景を切り取ったかのような、スケール感と共に内向的な感性を刺激するナンバーが占めています。

前半部はこれまでの作品には見られなかった作風で戸惑う場面もありましたが、#6.モノクローム・サイレントシティ辺りからぐっと舵が切り替わり、持ち味が最大限に発揮された楽曲が続きます。曲毎の印象は前半部よりも後半部の方が良いのですが、前半部があるからこそ後半部がより輝きを増しているようにも思います。アルバムが進行する毎に旅の始まりから終わりへ、そして心理的にもより深い部分へアプローチしていく本作は、楽曲ではなくアルバム単位で聴いていく事がこれまで以上に意識されたのではないでしょうか。神秘的なコーラスワークとストリングスが、ヒロイックなヴォーカルラインと絡み壮大なスケール感を演出する#7.オラリオン、静かに燃え盛るストリングスに仄かなアコースティックアレンジが哀愁を刺激する#10.カザキリ、新居昭乃を思わせる美しいコーラスと大きな抑揚で幻想的なメロディーを紡ぐ#12.ターミナルが本作のハイライト。彼女の魅力的な楽曲は総じてストリングスの使われ方が素晴らしいですね。

これまでとは若干異なる作風ながら、やなぎなぎの魅力は引き続きたっぷり詰まった力作であり傑作です。前作や前々作のような即効性はありませんが、聴く回数を重ねる毎に印象が良くなっていくスルメ盤のような一面もあり、これから長く付き合えそうな一枚になりそう。