Bill Laurance “Aftersun”
Release : 2016/3/4
Genre : Jazz / Funk
Samples : “Soti”
Tracklist :
- Soti
- The Pines
- Time to Run
- Madeleine ★オススメ
- Bullet
- Aftersun
- First Light
- Golden Hour
- A Blaze
グラミー賞にも輝いた実績を持つ気鋭のジャズグループ、Snarky Puppyのピアニスト/キーボーディストBill Lauranceの3枚目となるソロ・アルバム。
米iTunesジャズ・チャートで一位を獲得したデビュー作『Flint』や、その圧倒的な完成度から当ブログでは2015年ベストアルバムに選んだ2nd『Swift』は、エレクトロ・ミュージックとジャズ、クラシックの3要素を完璧に融合し、エレガントな格調高さと肩を揺らすグルーヴを両立させた画期的な傑作でした。その中で主役を張るBillの演奏は流麗で繊細、流れるようなタッチで珠玉のメロディーを次々に紡ぎ、多彩な音楽的要素の中でも圧倒的な存在感を放っていました。立て続けに傑作をリリースしてきた彼だからこそ、新作への期待は否応にも膨らむもの。前作から1年と言う短いスパンでリリースされた本作は、前2作とはかなり毛色が異なるものの、彼に内包された音楽性の幅広さを証明するような一枚になっています。
本作はこれまでの作品に見られたクラシック要素がオミットされ、代わりにコンガを初めとするアフリカンなパーカッション・アンサンブルを大胆に導入しています。キレの良いシンセの音色も相まって、非常にミニマルでスタイリッシュな印象を与えてくれます。リズム隊が大きく出張っている本作ではピアノが主張する場面は過去作品ほど多くはありませんが、メロウで透明感のあるメロディーは健在で、アフリカンなビートの中で浮き上がるように輝く旋律には思わずはっとさせられます。
ゲストミュージシャンとしては前作同様、Snarky PuppyのメンバーであるMichael LeagueやRobert ‘Sput’ Searightが参加し、またニューオリンズを代表するパーカッショニストWeedie Braihmaも加わる事で圧倒的なグルーヴミュージックを形成しています。本作の作風からは本家Snarky Puppyや、同グループのドラマーとパーカッショニストが組んだGhost-Note等の音楽性からも少なからず影響を受けている事を感じさせますが、ここまで様々な音楽性を大胆且つ柔軟にクロスオーバーさせるセンスは彼のソロ作品でしか味わう事は出来ません。ファンの中には変化に戸惑う方もいらっしゃるかもしれませんが、聴き応えは過去随一と言えるほど密度が濃く、また聴く回数を重ねる毎に新たな魅力を発見出来る逸品に仕上がっています。
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