Nothing “Tired of Tomorrow”
Release : 2016/5/13
Genre : Alternative Rock / Shoegazer
Samples : bandcamp
Tracklist :
- Fever Queen
- The Dead Are Dumb
- Vertigo Flowers
- A.C.D. (Abcessive Compulsive Disorder)
- Nineteen Ninety Heaven ★オススメ
- Curse of the Sun
- Eaten by Worms
- Everyone Is Happy
- Our Plague
- Tired of Tomorrow
- The Heavenly Blue Flu (Bonus Track)
- Tic Tac Toe (Bonus Track)
元DeafheavenのNick Bassettも在籍する、米フィラデルフィア出身のシューゲイザー/オルタナティブロックバンドNothingの2ndフルアルバム。
Relapse Recordsに移籍してリリースされた1stフル『Guilty of Everything』では、甘美で浮遊感に満ちたメロディーラインをノイズ寸前まで歪ませたディストーションギターによって包み込み、更にハードコアやグランジの激情や厭世観を織り交ぜた独特の音像を披露。バンド創設者であるDomenic Palermoの空虚な心象風景が具現化された、美しさの中に儚さと危うさを孕んだ逸品でした。2年ぶりの新作となった本作においてもその本質的な部分に大きな変化はありませんが、前作のような刺々しいノイズギターよりも、ポストロックやポストブラックメタルに通ずるノスタルジックで幻想的なギターフレーズや、ドリームポップ顔負けの甘美なヴォーカルラインが前面に押し出されており、よりキャッチーでフックに富んだ作風へと変貌しています。
全体的に角が取れ穏やかになった印象を受けますが、要所で顔を出すヘヴィなギターリフや退廃的なメロディーラインは健在で、上述したように彼らの本質的な部分は変わりないように思います。どの曲も安定して高いクオリティーを誇りますが、一聴してキラーチューンと分かる#1. Fever Queenや#3. Vertigo Flowersといった、前作の流れを汲んだ美しくドライブ感に富んだナンバーをはじめ、ミニマルなアンサンブルをバックにしとやかで情感豊かなヴォーカル/コーラスワークを聴かせる#5. Nineteen Ninety Heavenや#8. Everyone Is Happy、#10. Tired of Tomorrowといったバラードナンバーも同様に魅力的。楽曲によって所々でカットインされる銀盤の音色が良いアクセントにもなっています。
前作の刹那的な衝動感に満ちた作風も素晴らしいものでしたが、本作の落ち着きの中で魅せるコンテンポラリーな作風もまた素晴らしい。個人的には前作よりもこちらのほうが好きかな。彼らのソングライティング能力の高さをまざまざと見せ付けてくれる力作です。
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