The Fall of Hearts / Katatonia

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Release : 2016/5/20

Genre : Gothic Metal

Samples : “Old Heart Falls”

Tracklist :

  1. Takeover
  2. Serein
  3. Old Heart Falls
  4. Decima
  5. Sanction
  6. Residual
  7. Serac
  8. Last Song Before The Fade
  9. Shifts
  10. The Night Subscriber  ★オススメ
  11. Pale Flag
  12. Passer
  13. Vakaren
  14. Night Comes Down

スウェーデンのベテラン・ゴシックメタルバンド、Katatoniaの最新作。

90年代初頭~前半にかけてゴシックメタル黎明期を築いたThe Peaceville Threeと呼ばれるUKの3バンド(Paradise Lost、My Dying Bride、Anathema)らと並んで、ゴシックメタル界隈の最重要バンドと評されるKatatoniaですが、彼らの創り出す音世界は北欧の美しくも荒涼とした原風景が透けて見えるほど、ホームグラウンドにがっちりと根付いたトラディショナルな空気感を湛えているのが特徴的で、彼ら最大のオリジナリティーであり魅力です。また、どの作品でも悲哀と哀愁に満ちたメロディーラインは一貫しつつも、リリースを加える毎に軌道修正や新たな試みを重ね、常に進化の歩みを止めないバンドでもあります。最近では前作『Dead End Kings』をアコースティックアレンジしてKscopeからリリースした『Dethroned & Uncrowned』が記憶に新しいところで、歴代の作品中でも特にヘヴィーだったDead End Kingsを完璧なアコースティック・サウンドに作り変え、メランコリックなメロディーラインを浮き立たせて楽曲の新たな魅力を引き出すことに成功していました。

『Dethroned & Uncrowned』から約3年振りとなる本作は、そんな彼らの歩みを総括したかのような複合的で、且つ素晴らしい完成度を誇る逸品。ゴシックメタル~オルタナティブロック、ポスト・プログレッシブロックに至るまで彼らが吸収してきたあらゆる要素が含まれ、磨き上げられ昇華されています。個人的にサウンドの触れ幅が比較的狭く感じた『Dead End Kings』に比べ、本作はジャンルなど何のそのという勢いでメタル~ポストロック、プログレ、アンビエントまで軽々と飛び越えて見せ、万華鏡のように多彩なメランコリック・ロック/メタルを展開しています。このフットワークの軽さと可動域の広さこそが、本作最大の魅力と言って良いかもしれません。

バンドのシンボルマークでもあるヴォーカルJonas Renkseの”泣きの歌声”は更に際立っており、相変わらず圧倒的な表現力と歌唱力を見せ付けてくれます。一方新たに加入したメンバーの一人で、同郷の重鎮ゴシックメタル・バンドTiamatでも活躍するギタリストRoger Öjerssonの貢献度も素晴らしく、彼がリードギターとして参加する#1. Takeover#7. Serac#12. Passerでは6th『Viva Emptiness』もかくやというアグレッシブで精密なギタープレイを披露し、哀愁のメロディーラインを大きく波打たせています。アコースティック・ギターの異国情緒的なフレーズが美しいバラード#11. Pale Flagや、厳かなシンセサウンドによるイントロから、静~動へとダイナミックに展開するバンドアンサンブルを伴って美と浮遊感をポスト・プログレ的に演出する、個人的なハイライトナンバー#10. The Night Subscriberもまた素晴らしい。

圧倒的な情報量と完成度、芸術的意匠に優れた本作の全貌を、一度聴くだけで把握するのは極めて困難ですが、その代わり繰り返し聴く毎に新しい魅力に気付かせてくれます。彼らの作品群の中でだけでなく、ゴシック・メタルの裾屋を一段階広げるポテンシャルを秘めた、界隈における重要なマイルストーンとして語り継がれるべき名作です。

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