Falling Satellites / Frost*

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Release : 2016/5/27

Genre : Progressive Rock

Samples : “Heartstrings”

Tracklist :

  1. First Day
  2. Numbers
  3. Towerblock
  4. Signs
  5. Lights Out
  6. Heartstrings
  7. Closer To The Sun
  8. The Raging Against The Dying Of The Light Blues In 7/8
  9. Nice Day For It…  ★オススメ
  10. Hypoventilate
  11. Last Day
  12. Lantern
  13. British Wintertime

プロデューサー兼キーボーディストJem Godfrey率いるUK産プログレッシブ・ロックバンド、Frost*の3rdアルバム。

It BitesやIQといった同郷のネオ・プログロックの一流バンドからメンバーを引き入れ、2006年にリリースされた1stフル『Milliontown』はその後のモダン・プログロックシーンの試金石と化す圧倒的な完成度と革新的なアイデアが詰め込まれた、歴史的名作とも呼ばれる逸品でした。閃光のように駆け抜けていくキーボードの爆発的な音色に導かれ、超絶技巧を誇るバンドアンサンブルがモダンで洗練された情景を瞬く間に描いていく様には誰もがこれまで感じたことのない程の衝撃を受けたはず。そして3年後の2nd『Experiments in Mass Appeal』では新たなヴォーカリストDeclan Burkeを迎え、より普遍的なポップネスをUK産ロック独特のウェットな質感と変則的なアンサンブルで紡ぎ出す新たなスタイルを披露、オルタナティブロックとプログレッシブロックの架橋を見事に作り出してみせたこちらも画期的な傑作でした。

あれから何年もの時が過ぎていき、個人的には半ば伝説のバンドと化していた彼ら。しかし昨年に再発されたライブCD+DVD『The Rockfield Files』で新曲を披露するなど、最近は来るべき新作への期待が徐々に高まっていました。そして私だけでなく、全世界が待望した新作『Falling Satellites』が今年遂にリリース、長い年月は彼らを色褪せさせるどころか更に熟練・洗練した姿へと”進化”させ、世界中のモダン・プログロックのファンに衝撃と感動をもたらす画期的な傑作をまたしても届けてくれました。Steven WilsonバンドのCraig Blundell(Drums)とフュージョン/ファンクバンドLevel 42のNathan King (Bass)が加入した新たなラインナップで投下された新作は、1stの爆発的なキーボードプレイが牽引する切れ味鋭いアンサンブルと、2ndのスマートで人懐っこいメロディーラインを踏襲しながら、ダンスミュージックやアンビエントといったエレクトロ・ミュージックへより大胆に接近するチャレンジングな要素を含んだ創造的な作風で、ロックでありながら”極限まで磨き上げ洗練させたポップミュージック”といっても差し支えないレベルにまで洗練されたキャッチーな音像は、彼らが1st,2ndの時代とは一線を画する新たなステージへと登り詰めた事を確信させてくれます。

イントロナンバー#1. First Dayを抜け、ダンサブルなキーボードの旋律とフラッシーなギタープレイによる鮮烈なサウンドが印象的な#2. Numbers、ゴリゴリのブレイクビーツをカットインしつつ、ホップするキーボードとベースのユニゾンでダンスミュージック顔負けのグルーヴを生み出す#3. Towerblockで掴みはばっちり。エレクトロニカ風の涼やかな電子音と共に、女性ヴォーカルとの美しいコーラスワークが心地よい癒しの風を吹かせる#5. Lights Out、『The Rockfield Files』収録時よりも更にマッシブでダイナミックなアレンジが施された#6. Heartstrings、鼓動するビートと緩やかなアンビエントシンセをバックに、ゲスト参加のJoe SatrianiとJem Godfreyの壮烈なギター&キーボードソロの応酬が印象的な#7. Closer To The Sun、『Milliontown』での”Hyperventilate”や”Milliontown”を想起させ、煌くメロディーをまき散らしスリリングに疾駆するアンサンブルがじっくり堪能できる#9. Nice Day For It…、優しくヴェールを張る銀盤の音色を背に、感動のクライマックスシーンをダイナミック且つしっとりと紡いでいく#13. British Wintertime(ボーナストラック)と、質的な充実度は過去最高の大作に仕上がっています。

過去と現在、未来を一本の紐のようにつないでみせる、革新的な作風でシーンを驚かせ続けてきたFrost*が投下した新たなマテリアルは、またも今後のモダン・プログロックシーンに試金石として定着することを確信させる、溢れるアイデアと圧倒的な完成度を誇る名作でした。これまでの作品群はプログレッシブ・ロックシーンを越えたリスナーにも届く訴求力がありましたが、今作の圧倒的にキャッチーな作風は更に幅広い層のリスナーに届く可能性を秘めています。知的感性が光るロック・ミュージックの極北を垣間見たいリスナーにはもれなくお勧めしたい逸品。