Empires of Ash / Sojourner

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Release : 2016/5/25

Genre : Atmospheric Black Metal

Samples : bandcamp

Tracklist :

  1. Bound by Blood
  2. Heritage of the Natural Realm
  3. Aeons of Valor
  4. The Pale Host
  5. Homeward  ★オススメ
  6. Trails of the Earth
  7. Empires of Ash

ニュージーランド、及びスウェーデン出身のメンバーが在籍するフォーク/アトモスフェリック・ブラックメタルバンド、Sojournerの1stフルアルバム。

bandcampでは偶に化け物のようなクオリティーの新人バンドが顔を出すのですが、彼らもその一例に含まれるのではないでしょうか。この手のジャンルにはあまり詳しくないのですが、PanopticonやSaor、Summoning等が代表的なフォーク要素を含んだブラックメタルで、ティン・ホイッスル(アイルランド発祥の縦笛)、ピアノ、シンセサイザー、女性ヴォーカル等を駆使する事で、上述したバンド達より更に幻想的でノスタルジックなサウンドスケープを創り出しています。

彼らの音楽性で特筆すべきは、ケルト音楽の編み込んだように繊細な音の調べが、ブラックメタルの攻撃的なアンサンブルの中に完全に溶け込んでいる点。溶け込むどころかブラックメタル要素を排除してケルトミュージックだけの美しい調べを聴かせるような場面や曲(#4. The Pale Host)も多々あります。ブラックメタルとケルト、ほぼ真逆の印象を与える二者をシームレスに行き来しながら美と退廃の世界観を精巧に描き出す様は、新人離れした才能と実力を感じさせます。一方アトモスフェリック・ブラックメタルの代名詞であるトレモロリフも、全盛期のCatameniaを想起させるような雄大さと美しさを兼ね備えた極めて高クオリティーなそれで、楽曲を盛り立てる主役として十二分に機能しています。サウンドプロダクションもこのジャンル、そして新人にしては良好で、楽曲の良さも相まって7曲56分を一気に聴かせてくれるという破格の充実ぶり。

ティン・ホイッスルの幽玄な旋律と扇情的なギターリフの絡みが高揚感と共に涙腺を刺激する#1. Bound by Blood、ピアノとティン・ホイッスルによる哀愁を帯びたメロディーが、ブラックメタルのアグレッシブなアンサンブルと融合した#3. Heritage of the Natural Realm、女性ヴォーカリストの美しいコーラス、メランコリックなティン・ホイッスルの音色、ピアノの旋律をバックに雄大なギターフレーズとイーヴルヴォイスが木霊する#5. Homeward、トラッドの音色を織り交ぜながら、悲哀と哀愁のメロディーをかき鳴らすトレモロリフが強調された疾走ナンバー#6. Trails of the Earthが特にお気に入り。

今年のメタル界隈の新人では図抜けた完成度を誇る傑作。ベテラン勢にも負けない圧倒的なクオリティーとオリジナリティー、そして美しさ極まる世界観にぜひ浸ってほしい逸品です。