Everchild / Dark Suns

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Release : 2016/6/3

Genre : Alternative / Progressive Rock

Samples : bandcamp

Tracklist :

  1. The Only Young Ones Left
  2. Spiders
  3. Escape With The Sun
  4. Monster
  5. Codes
  6. The Fountain Garden
  7. Unfinished People
  8. Everchild
  9. Torn Wings  ★オススメ
  10. Morning Rain

ドイツのオルタナティブ/プログレッシブ・ロックバンド、Dark Sunsの5thフルアルバム。AlcestやArcturus、Elend等が在籍するレーベルProphecy Productionsからのリリース。

それまでのダークな世界観のプログレッシブ・メタルから、プログレッシブ/サイケデリック/アヴァンギャルド・ロックへと身を寄せた前作『Orange』(2011)は、自由度の増した軽快なアンサンブルとオルガン・ヴァイオリン・トランペット・サックス等が彩る古き良きヴィンテージ・サウンドが、持ち味である幻想的で哀愁深いメロディーラインと絡み合った傑作で、明らかに今後の彼らにとってターニングポイントとなる事を確信させる革新的な作風でした。しかし、あれから待てど暮らせど新作の続報はなく半ば忘れかけていた頃…突如として5年振りの新作をリリースしたというニュースが。そしてこの『Everchild』が前作を踏襲した上で更に一段階ステップアップしたことを伺わせる素晴らしい内容で、おそらく殆どのファンに”待った甲斐があった”と思わせる事になるであろう傑作に仕上がっています。

本作は前作ほど自由奔放に暴れまわるアンサンブルは身を潜めた代わりに、トランペットやサックス、ピアノ、キーボード等に彩られた時代の重みと風情を感じさせるプログレッシブ・ロックとしての香気はより濃密なものになりました。一方ジャムセッション風の自由度の高い演奏やこぶしの効いた歌い回しなどジャズやソウルからの影響も垣間見せつつ、オルタナティブロックやポストロック、サイケ、ストーナー、ポストプログレまで広く内包する事でただの懐古主義やオマージュとはかけ離れた、過去と現在をシームレスに繋ぐ極めて独創的なロックサウンドを確立しています。メロディーセンスも過去最高に冴え渡っており、静と動・明と暗を区別したダイナミックな演奏によって弾き出されるノスタルジックでドリーミーなフレーズの数々は、まるで映画のサウンドトラックのような臨場感をもって感動をもたらしてくれます。

ドライヴ感のあるギターリフと力強いトランペットの音色、ヴォーカルNiko Knappeの浮遊感のある歌声が交差するオープニングナンバー#1. The Only Young Ones Leftに始まり、不穏さを掻き立てるギターリフやトランペットの合奏、キーボードによる70年代風の旋律が怪しげでムーディな世界観を演出する#2. Spiders、透明感のあるサウンドをバックに色気に満ちたヴォーカル/コーラスワークがまとわりつくようにして酩酊感を誘う#3. Escape With The Sun、サックスの旋律と男女のツインヴォーカルを主役にこの上なくムーディな空間を生み出す#4. Monster、Leprousを思わせるようなキレの良いギターリフとトライバルなドラミングを基礎に、変則的なアンサンブルで中盤以降畳み掛けるように進行する#5. Codes、流麗なピアノに彩られながら、大人の色香を振りまく歌声が木霊するバラードナンバー#6. The Fountain Garden、ベースと小気味良いドラミングによるミニマルな音像から、徐々に肉付きが施され最後に大団円を迎えるポストプログレ的なダイナミズムが心地良い#7. Unfinished People、ドライブするギターリフと分厚いキーボード、乱舞するピアノの音色に導かれ、呪詛のような不穏さを残し風のように疾駆するヴォーカルが高揚感と緊張を高める即効性に富んだ#8. Everchild、攻撃的な前曲から一転、ピアノと甘美なギターによって彩られた、ドリームポップ顔負けの多幸的なサウンドスケープが印象的な#9. Torn Wings、暖かみのある牧歌的なメロディーラインでノスタルジーと共に涙を誘うラストナンバー#10. Morning Rainと、最初から最後まで素晴らしい完成度を誇る楽曲の連続。楽曲の尺は短かった前作から6~10分程の中・長尺曲志向へと再び転換していますが、中だるみは無く聴き応えは確実に向上しています。

AnekdotenやSteven Wilson、近年のOpethやKatatonia、Anathemaといったダークで幻想的なプログレッシブ・ロック/メタルファンには是非ともオススメしたい力作。彼らの作品群の中でも頂点に位置すると同時に、今年上半期のプログレッシブ・ロック界隈を総括するかのような圧倒的な完成度を誇る大傑作です。