新居昭乃 “リトルピアノ・プラス”
Release : 2016/8/21
Genre : J-Pop / Acoustic
Samples : Teaser
Tracklist :
- リトルピアノ
- Stay
- Neverland ★オススメ
- サンクチュアリ・アリス
- Fairy Song
- オーロラ
- 羽よ背中に
- 一切へ
- 冬の庭園
- 蒼玉節
- Unknown Vision
- LostArea
- 金色の目 premiere version
日本のシンガー・ソングライター、新居 昭乃のデビュー30周年を記念してリリースされた最新作。
数ある邦楽アーティストの中でも個人的に最も好きだと自負しているアーティストで、本作のリリースを非常に楽しみにしておりました。銀盤とアコースティックギター、ストリングスに彩られた切なく幻想的な調べはどこかケルト音楽のようで、素朴な暖かみを残しながら肉感的な俗っぽさとは切り離された、神秘的なサウンドスケープが魅力的。彼女自身の優しくふわふわとした歌声も相まってどの作品・どの曲にも癒しのファクターに満ちていますが、時折垣間見せる悲哀のメロディーや影のある歌詞がカウンターとして効いていて、その一辺倒ではいかない世界観がいつも想像力を掻き立ててくれます。
本作は音楽家である彼女にとって最大のパートナーである”ピアノ”を立脚点に、いわゆるベストアルバムではなくこれから歩き出す今の新居昭乃を映し出した作品。だからこそ”プラス”の名が付けられたのだと思います(余談ですが『マクロスプラス』で初めて彼女の曲に出会った私としては、そのネーミングセンスにはイエスと言わざるを得ませんね…)。前作『Red Planet』および『Blue Planet』はボリュームこそあれ、影のあるメランコリックなメロディーがやや物足りない印象で、またアルバムとしての統一感も過去作に比べると若干の綻びが見えただけに、本作の圧倒的な完成度には一層の嬉しさが込み上がりました。個人的な最高傑作の思いを『空の庭』と『エデン』に見出している私にとっては、持ち味である夢現のサウンドスケープを極上の形で描き切った本作もまた、最高傑作に位置する作品となるでしょう。どの曲にもピアノのしとやかな演奏が込められていて、ほんのりうら悲しく上品で、幻想的な至高の新居昭乃ワールドを堪能できる内容に仕上がっています。どの曲もおしなべて素晴らしいのですが、強いてお気に入りを挙げるならば#3. Neverland、#10. 蒼玉節、#11. Unknown Visionあたりで、哀愁のメロディーが他より強く表に出ていて非常に好み。また1stアルバム収録曲のリアレンジ版である#13. 金色の目 premiere versionもピアノに置き換えられたメロウな旋律が心地よく、オリジナルに負けず劣らずの高クオリティー。
数ある新居昭乃作品の中でも屈指の出来を誇る傑作。邦楽よりも洋楽を聴く機会の方が多い私ですが、彼女の音楽の魅力からは今後も当分、逃れる事が出来なさそうです。
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