Gramarye / Lotus Thief

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Release : 2016/9/16

Genre : Progressive / Doom Metal / Psychedelic Rock

Samples : bandcamp

Tracklist :

  1. The Book Of The Dead
  2. Circe  ★オススメ
  3. The Book Of Lies
  4. Salem
  5. Idisi

米サンフランシスコを拠点とするサイケデリック/ドゥーム・メタルバンドの2ndアルバム。AlcestやLantlôs等が所属するProphecy Productionsからのリリース。デビュー時はBezaelith(bass, synth, guitar, vocal)とOtrebor(drums)によるデュオだったのですが、今作からIva Toric(synth, backing vox)なるメンバーが追加され3名体制となっています。

紀元前に生きた偉大なるローマの詩人・哲学者のルクレティウスが遺した著書「物の本質について」全6巻を、そのまま6つの楽曲として描き切った1stフル『Rervm』は、ドゥームメタル、ストーナーロックを軸とした骨太なグルーヴもさる事ながら、スペースロックやサイケデリックロックに見られるような酩酊感に満ちたギターフレーズや、プログレッシブロック顔負けの先の読めない楽曲展開、ブラックメタルの凶暴なアンサンブルやアンビエントチックな浮遊感漂うSEまで採り入れて昇華してみせた、カテゴライズ不能の先進的な作風でした。ダークで重い音響の中で神々しく揺蕩う女性ヴォーカルのミステリアスな魅力には、特に心奪われた方も多いはず。

本作は時代も文明も全く異なる、5つの(魔術的な)古代文書を基に作られた作品であり、それぞれ古代エジプトの「死者の書(#1. The Book Of The Dead)」、古代ギリシャの叙事詩「オデュッセイア」に登場する魔女(女神)キルケー(#2. Circe)、20世紀初頭にアレイスター・クロウリーが記した魔術書「嘘の書(#3. The Book Of Lies)」、古高ドイツ語で書かれたドイツ異教信仰の現存する唯一の文献「メルゼブルクの呪文」の一節(#5. Idisi)、ただ一つ#4. Salemだけ正確な由来が分かりませんでしたが…(多分「セイラム魔女裁判」関連の文献ですよね?)、古今東西のオカルト文書を参照しているようです。自らを”Text Metal”と評するだけあり、コンセプト(文献)設定には並々ならぬ拘りを感じさせます。

肝心の楽曲についても、前作から大幅な進化を感じさせる仕上がり。今作は世界中のオカルト文書を取り上げているだけあって、ミステリアスなだけでなく異国情緒感漂うエスニックな美しさも際立っています。特にヴォーカルの改善が顕著で、コーラス担当が一名増えたことで大きく存在感が増し、ギターと並んでメロディーをしっかり牽引している点が大きい。前作で見受けられたノイズや圧迫感を取り払い、きめ細やかな質感を備えたアンサンブルから紡ぎ出されるメロディーはよりキャッチーになり、リスナーの心に滑らかに浸透していきます。

オリエンタルな美しさの影に呪詛のような不穏さを滲ませる巧みなヴォーカルワークと、アグレッシブでスリリングな演奏のコントラストが映える#1. The Book Of The Dead、ポストロック風の淡い輝きを放つギターフレーズと、神秘的なヴォーカル/コーラスワークをメインに据え抱擁感と神々しさを際立たせた#2. Circe、ストーナーロックの無骨なアンサンブルを中心に、ハーシュヴォーカルから美しいコーラスまで多彩な歌声が鮮やかに彩る#3. The Book Of Lies、Dark Sanctuaryを思わせる耽美なダークアンビエントの音色をバックに、エモーショナルなギター/ヴォーカルワークが徐々に感動を喚起する#4. Salem、ミドルテンポの地に足付いたリズムセクションを足場に、哀愁を滲ませる美しいギターフレーズが洪水のように押し寄せる#5. Idisiと、どの曲も素晴らしい個性と完成度を備えています。

前作とはまるで比較にならないハイクオリティーっぷりにたまげました。耽美で、重厚で、アトモスフェリックで、グルーヴィーで、プログレッシブで…楽曲ごとに、また同じ楽曲でも聴く度に様々な発見が出来る凄まじい奥深さを誇る傑作です。あっぱれ。

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