Kodama / Alcest

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Release : 2016/9/30

Genre : Post Black Metal / Shoegazer / Post Rock

Samples : “Kodama”

Tracklist :

  1. Kodama
  2. Eclosion
  3. Je Suis D’ailleurs  ★オススメ
  4. Untouched
  5. Oiseaux De Proie
  6. Onyx

フランスのポストブラックメタルバンド、Alcestの5thアルバム。

作品を重ねる毎に少しづつ作風を変容させながら、バンドの首謀者であるNeigeの思う”ユートピア”を音楽として表現し続けるAlcest。前作『Shelter』はそんな彼らの歴史でもかなりドラスティックな変化に挑戦したアルバムであり、ブラックメタルの要素を排除し完全にポストロック/シューゲイザー作品として昇華されていました。ブラックメタルは手段の一つでしかないというNeigeの認識を裏付けるような大胆な変化でしたが、彼らの核である幻想的・桃源郷的なメロディーはしっかりと受け継がれており、むしろ多幸感が強調された麻薬的な中毒性でメタルファンをも虜にしてしまう、凄まじい傑作と言えました。

本作はアルバムタイトルから伺えるように、日本の文化にインスパイアされた作品であると公言されています。元々、Neigeが日本のアニメやゲーム文化に造詣が深かった事や、前作リリース後に日本の寺院を会場にしてアコースティックライブを敢行した経緯もあったことから、本作の作風は予想出来たものだったのかもしれません(私は全く予想出来ませんでしたが…)。最も顕著な変化はブラックメタル要素の復活であり、前作のようにクリーントーンのギターとヴォーカルによって透明感を演出するサウンドと、強烈なトレモロギターとハーシュボイスで攻撃的に攻め立てるサウンドが混在する、非常に振れ幅の大きい演出が目立つ作品です。ここまでだと2nd『Écailles De Lune』とあまり変わりないように思えますが、本作はあのアニメ『もののけ姫』から大きく影響されたと公言されているだけあって、Wolves In The Throne Roomのような自然崇拝的なメロディーラインや、マットでオーガニックなサウンドスケープが積極的に採用され、あの作品の生々しさや美しさ、恐ろしさを見事に連想させてくれます。

オープニングナンバーの#1. Kodamaはまるで森の中で演奏されているかのような、澄み切った空気感と輪廻を感じさせる幽玄なメロディーラインの相乗効果が、この世ならざる美しさを生み出す一曲。続く#2. Eclosionは彼らのクラシックな楽曲を思わせるような優しく包み込むようなメロディーと、感情を爆発させるハーシュボイスの対比が印象的な一曲。#3. Je Suis D’ailleursはザラついたディストーションギターとパワフルなドラミングが高揚感を煽りながら駆け抜けていく一曲。中盤のハーシュヴォーカルを交えたバーストサウンドが最高に気高くて、美しい。#4. Untouchedは前作を思い出させるポストロック風味の強いミドルナンバー。前曲の緊張感から一転、伸びやかで優しい音色が淡い陽光のように包み込んでくれます。そして実質上のクライマックスナンバー#6. Oiseaux De Proieではオルタナへヴィ風のダークで沈み込むようなギターリフを背に、滝を下る水流のようになだれ込むサウンドがこちらを飲み込んでくる一曲。最後に吹き荒ぶ風のようなアウトロナンバー#6. Onyxでアルバムの幕は閉じられます。

ポスト・ブラックメタルのパイオニアとしての地位に恥じないだけでなく、彼らの尽きることのない創作意欲をひしひしと感じる素晴らしい作品です。前作のような衝撃度は無いけれど、手堅い作風の中に今の彼等だからこそ出来たであろう新たな音景色が沢山刻まれています。往年のファンであればマストバイ、ポストロックやシューゲイザーがお好きな方でAlcestを知らないという方も是非チャレンジして欲しい逸品。

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