Eye Of The Soundscape / Riverside

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Release : 2016/10/20

Genre : Progressive Rock

Samples : bandcamp

Tracklist :

  1. Where The River Flows  ★オススメ
  2. Shine
  3. Rapid Eye Movement (2016 mix)
  4. Night Session – Part One
  5. Night Session – Part Two
  6. Sleepwalkers
  7. Rainbow Trip (2016 mix)
  8. Heavenland
  9. Return
  10. Aether
  11. Machines
  12. Promise
  13. Eye Of The Soundscape

ポーランドのプログレッシブロックバンド、Riversideの最新作。

今年に入ってしばらくして、ギタリストPiotr Grudzińskiの死という信じ難いニュースが飛び込んできた時はショックで目まいを起こしそうでした。ある場面ではヘヴィなリフで果敢に攻め立て、またある場面ではメランコリックなギターソロでリスナーの涙を誘い、更に別の場面ではアコースティックギターの流麗な旋律で心を浄化してくれる、幅広いプレイングで何度もリスナーを魅了してきました。Riversideは世界中の近代プログレッシブ・ロックバンドの中でも、筆頭格と呼べるほどレベルの高いバンドですが、彼は間違いなくバンドにとってエッセンシャルな存在でした。

そんな彼が失われた事で、今後の活動に支障が出てしまうのではという周囲の心配をよそに、彼らは3名体制での活動継続を宣言。かけがえの無いメンバーの死を乗り越えてリリースされた本作は、5th『Shrine Of New Generation Slaves』及び6th『Love, Fear and the Time Machine』で収録されたボーナストラックと、3rd『Rapid Eye Movement』のボーナストラック”Rapid Eye Movement”、及び同作からシングルカットされた『Schizophrenic Prayer』に収録された”Rainbow Trip”のセルフリミックス版、そして新曲を4曲(#1.Where The River Flows, #2.Shine, #6.Sleepwalkers, #13.Eye Of The Soundscape)収録したものとなっています。

実は4th~6thまでのアルバムは”the crowd trilogy”と呼ばれる3部作であったらしく、6thで物語が完結した後に、それを補完する立ち位置の作品を出そうというアイデアは前々から暖めていたようです。よって本作は純粋なニューアルバムというよりも、次回作への橋渡し的な役目を担う企画盤といっても差し支えないかもしれません。尚、私は『Shrine Of New Generation Slaves』と『Rapid Eye Movement』に関してはボーナストラック付音源ではなく、また、『Schizophrenic Prayer』に関しては所持もしていないため楽曲の半分程が初めて聴くものになります。

プログレッシブ・ロックや作品によってはハードロック/ヘヴィーメタルにもカテゴライズされる彼らですが、一方でエレクトロニカやアンビエントといった電子音楽の素養も持っていました。しかしそれらはアルバム本編で披露されることはほぼなく、上述したようにEPやボーナストラックとしての収録、フロントマンであるマリウスのソロプロジェクトLunatic Soulで披露されるに留まっていました。しかし本作では、これまで彼らの”裏の顔”を担ってきた電子音楽の要素が主役。それは今作で新たに収録された新曲でも同様で、電子音楽とプログレッシブ・ロックを非常にスムーズに融合させた、新機軸と言える出来に仕上がっています。元々彼らの音楽に備わっていたオーガニックで繊細なメロディーラインが、無機質で冷たいエレクトロサウンドと溶け合って美しい網目模様を生み出し、過去作よりも更に神秘的・幻想的な色彩が強くなっています。

一曲目の#1. Where The River Flowsは、まさに彼らにとっての新しい門出を象徴するに相応しいキラーナンバー。神秘的なアンビエントシンセとギターリフレインによる壮麗なイントロから、無機質なビートがリードするソリッドな演奏へとシフトしていく過程がとてつもなくカッコいい。ラストを飾るマリウスの揺蕩う様なヴォーカルワークもこの上なく美しく、最初から最後まで美味しいところずくめの一曲。続く#2. Shineではメカニカルな電子音の鼓動とブルージーなギター&ベースが木霊する一曲。ほんのり中東風なメロディーが艶やかな色彩を生みます。#3.Rapid Eye Movement(2016 mix)はサイケデリックな酩酊感を生むリードギターと近未来風なシンセサウンド、そしてマリウスのブレススクラッチが木霊するSFチックなナンバー。#4. Night Session – Part One及び#5. Night Session – Part Twoは『Shrine Of New Generation Slaves』で収録されたボーナストラック。Part Oneはコズミックなシンセベースがぶりぶりと唸る中、雲の様にふわふわと揺らめくSEとギターリフが神秘的です。Part Twoは無機質なビートをバックにサックスが乱れるムーディな一曲。#6. Sleepwalkersはスペーシーなシンセの揺らめきが怪し気な雰囲気を醸し出すナンバー。#7. Rainbow Trip (2016 mix)では、ダークで透き通ったシンセの音色やマリリオン風の流麗なギタープレイといった、初期の姿を思い出させる演奏が堪能できます。続く#8. Heavenland~#12. Promiseは前作収録のボーナストラック。風が吹き荒ぶようなSEを背にメロウなアコースティックギターと銀盤の音色が止めどなく流れる#8. Heavenland、儚くドリーミーなシンセに、霞がかったギターサウンドと上品なアコースティックギターのアルペジオが重なる#9. Return、チルアウト風のミニマルなビートとなだらかなギターサウンドに、対になるように重々しく唸るベースのコントラストが印象的な#10. Aether、角ばって冷んやりとしたエレクトロニクスの反復が心地良いリズムを生む#11. Machines、深みのある生楽器の旋律と、光を塗す様な神々しいトレモロが美しさを極める#12. Promise、そしてラストは、神秘的なSEを交えたドローンサウンドにメランコリックなハイトーンのギターが重ねられた、星の瞬く夜空を幻視させる煌びやかなアンビエントナンバー#13. Eye Of The Soundscapeで締めくくられます。

彼らにメタルや古き良きプログレッシブロックの姿のみを求めている方にとっては、この作品は受け入れ難いかもしれません。逆にEPやボーナストラック、Lunatic Soulなどで彼らのエレクトロミュージックへの嗜好を知っている方や、先進性を追及する求道者としての彼らの姿を好んでいる方はきっと気に入られると思います。個人的にはこれはこれで…と、とても好きになれたアルバムです。

ところで、個人的な2大お気に入りバンドでもあるAnathemaとRiversideが、奇しくも同じ道を辿ろうとしているのが面白いですね。Anathemaのヴィンセントもインタビューで語っていましたが、プログレッシブロックを音楽ジャンルとしてではなく音楽の考え方として捉える、つまり旧来の型(所謂、古き良きプログレ)を模倣するのではなく、未来を見据えて”プログレッシブ=先進的”である事を追及している点は、AnathemaもRiversideも同じではないかと思います。そして両者が共にエレクトロサウンドを積極的に採用しようとしている点もまた興味深い。エレクトロサウンドの採り入れ方に関しては今のところRiversideの方が洗練されているように思いますが、彼らが共に刺激し合いながら、より偉大なバンドへと登り詰めていくのを見守っていきたいですね。そして切に願うのは、いつかは来日を果たして欲しいということ…。

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