Atoma / Dark Tranquillity

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Release : 2016/11/4

Genre : Melodic Death Metal

Samples : “Atoma”

Tracklist :

  1. Encircled
  2. Atoma
  3. Forward Momentum
  4. Neutrality
  5. Force of Hand
  6. Faithless by Default
  7. The Pitiless
  8. Our Proof of Life
  9. Clearing Skies
  10. When the World Screams
  11. Merciless Fate
  12. Caves and Embers  ★オススメ

スウェーデン出身のメロディックデスメタルバンド、Dark Tranquillityの11thフルアルバム。

メロディック・デスメタルシーンの開祖ともいえる彼らが、並み居る同期たちを抑えて今、ヘヴィーメタル界隈全体でも最高級のバンドとして輝きを放っている事は、私を含め多くのメタルファンが感じているのではと思います。個人的には前作『Construct』で本格的なブレイクスルーを果たしたと思っているのですが、それもこれまでの積み重ねがあってのこと。初期のイェーテボリ・スタイルから、『Projector』『Haven』での耽美なゴス・ミュージックと融合した姿、そして『Damage Done』以降のスマートに洗練されたモダンメタルの追求、それらが完全に結実したのが前作であり、それを更に昇華させたのが本作。重厚で筋肉質なリズムセクションと、叙情的なメロディーを流れるように奏でるギターとシンセが、北欧の暴力的なまでに美しい原風景を今まで以上の精巧さで描き出した傑作です。

シンセやリードギターが比較的大きな抑揚で奏でられる一方で、ドラムの手数とスピードは相当なため楽曲から感じられる体感速度はかなりのもの。ヘヴィーメタルに基本的なカッコよさやノリもしっかり兼ね備えながら、シンセやクリーントーンのギターを巧みに織り交ぜて、アトモスフェリックな美しさが映える音像を生み出しています。Mikael Stanneのヴォーカルも相変わらず冴え渡っていますが、興味深かったのは、クリーンボイスをヴァースにだけ用い、サビは徹底してグロウルで歌い上げていた点。捻くれた目線で見てしまうと、かつて一世を風靡した”サビだけクリーン”を盲目的に採用し続けた、売れ線重視の中途半端なメタルコアやメロディックデスメタルバンドに対する強烈なアンチテーゼのようにも受け取れますね。実際、本作の圧倒的過ぎるクオリティーによって、本格的に引導を渡してしまったようにも感じられますが…。

フルスロットルでリズムを刻むドラムに導かれながら、サビでは腰を落ち着けたアンサンブルでエメラルド色の美しいメロディーを編む#1. Encircled、スペーシーなシンセとポストロックにも通ずる美しいギターリフレインが印象的なミドルナンバー#2. Atoma、名曲「Lost To Apathy」を思い起こさせる神秘的なシンセサウンドが、艶っぽいクリーンボイスと相互に絡み合う#3. Forward Momentum、ザクザクと心地よく刻むギターリフに乗って、グロウルが暴風のように木霊するアグレッシブナンバー#4. Neutrality、加速と減速を繰り返しながら、ギターとシンセのメロウな旋律で魅せる#5. Force of Hand、開放感のあるダイナミックなアンサンブルが悲哀の影差すフレーズの数々を彩る#6. Faithless by Default、マッシブなドラミングに乗って、トレモロを交え幻想的に発光するギターフレーズが高揚感を喚起する#7. The Pitiless、リードギターによる白色の抒情的なフレーズが歌うように木霊するミドルナンバー#8. Our Proof of Life、キレ良く刻むリズムセクションをバックに、ガラス細工の様な銀盤の旋律がリードギターとデュエットする儚く爽やかな#9. Clearing Skies、リズムセクションの力強い重低音の連続から、退廃感が際立つダークブルーなサビメロへと繋がる#10. When the World Screams、ミドルテンポの重厚な演奏をバックに、ダウナーで悲壮感漂うシンセサウンドが主役を張る#11. Merciless Fate、ドライブするビートを軸にメタル~ポストロックまで幅広い表情を見せるギターフレーズ、灰色を纏って輝くシンセサウンドがクロスオーバーするラストナンバー#12. Caves and Embersまで、一分一秒まで隙の無い貫禄の出来。

ここ数年の内にベーシストの度重なる交代劇もあったようですが(現在のベーシストは現Ceremonial Oath, TiamatのAnders Iwersが務めています)、そんなことは何処吹く風と言わんばかりの圧倒的なクオリティーに舌を巻きました。メロディック・デスがお好きな方にはもちろん、ゴシックメタルやプログレメタルといった周辺ジャンルがお好きな方にも是非トライしてほしい逸品です。

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