Hour of the Nightingale / Trees of Eternity

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Release : 2016/11/11

Genre : Gothic Doom Metal

Samples : bandcamp

Tracklist :

  1. My Requiem
  2. Eye of Night
  3. Condemned to Silence
  4. A Million Tears
  5. Hour of the Nightingale
  6. The Passage  ★オススメ
  7. Broken Mirror
  8. Black Ocean
  9. Sinking Ships
  10. Gallows Bird

現Swallow the SunのギタリストJuha Raivioと、南アフリカ出身の女性シンガーAleah Liane Stanbridgeを中心に、WintersunやOctober Tideといった北欧メランコリック・メタルの実力者が集ったスーパーバンド、Trees of Eternityの1stフルアルバム。フィンランドのメタル系レーベルSvart Recordsからのリリース。

バンドの結成は2009年、Swallow the Sunの4thアルバム『New Moon』にゲストシンガーとして参加したAleahと、ギタリストのJuhaが意気投合した事がきっかけだそう。メンバーを集めて本格的な活動を開始するのは12年からで、翌13年にはデモ音源『Black Ocean』を自主制作でリリースしています。16年になってようやく1stフルのリリースと相成った訳ですが、同時に女性ヴォーカリストAleahをガンで亡くすという悲劇に見舞われています。界隈でも特に実力派のメンバーが揃った、好き者にとっては夢のようなラインナップのバンドだっただけに、バンドのコアとなる人物の死は余りにも悲しいニュースでした…。

本作の作風は『New Moon』や『Hope』辺りのSwallow The Sunを想起させる、ゆったりと波打つリズムセクションに雪結晶のような輝きを放つリードギター、そしてAleahの神秘的な歌が木霊するメランコリック・メタルの極地。極寒の世界に横たわる悲哀と神秘の情景が精巧に描かれています。また、Aleahの歌はこの手の界隈に多いハイトーンやソプラノボイスではなく、抑揚を抑えウィスパーボイスにも片足突っ込んだ、ミドル~ロートーンで淡々と歌い上げる独特のスタイル。それがまた、本作から感じ取れる哀愁深さや深遠な美しさに大きく貢献しています。

地を這うようなディストーションギターとベース、壮麗でメロディアスなシンセサウンド、そして薄水色に透き通ったアルペジオギターが織り成す極寒の世界で、ダウナーなドラミングと物憂げな歌声がエコーする幻想的なオープナー#1. My Requiemから、ヴァースのうら悲しく淡々としたリフレインが悲哀のボルテージを上げ、サビのメロディアスなフレーズの応酬で解き放つ#2. Eye of Night、星屑のように煌くギターサウンドを背に、Aleahの歌が男性コーラスを交えながらエモーショナルに燃え上がる#3. Condemned to Silence、耽美なアルペジオギターを背に憂いを帯びた歌が反響する暗闇の世界から、重厚なアンサンブルと共に落ちていく涙そのもののような鬼気迫る歌唱が、本作に宿る悲哀の渦中へと本格的に引きずり込む#4. A Million Tears、アコースティックギターによる哀愁の旋律を纏って、揺蕩うヴォーカルがまるでオーロラのように幻想的なカーテンをかけるタイトルトラック#5. Hour of the Nightingale、叙情性極まるメロウなギターフレーズと、透き通った美しさで悩ましげに歌うヴォーカルラインがデュエットする#6. The Passage、沈んだメロディーラインで混じり気の無い哀愁を演出しつつ、サビで瞬間的な熱狂に昂じてみせる#7. Broken Mirror、リヴァーヴを効かせ幻想的に発光するアルペジオギターと奥深く反響するドラムを背に、幽遠な歌声がアトモスフェリックな美しさを演出する#8. Black Ocean、アコースティックギターの清廉な爪弾きに合わせて、Aleahの優しく透き通った歌声が凛と響き渡るフォーク風のナンバー#9. Sinking Ships、畏怖に塗れた粘っこいギターリフレインと、呪詛を呟く様に淡々と歌詞を乗せる歌声が妖艶に絡み合うラストナンバー#10. Gallows Birdまで、良質なゴシックドゥームが堪能できる聴き応えばっちりの内容です。

本作の印象はSwallow the Sunのそれにかなり近いものがありますが、こちらは透明感のある女性ヴォーカルをメインに据えているだけあって、ポストロックやアンビエントにも肉薄する非常にアトモスフェリックな作風となっています。輪郭がぼやけている分、一聴した際には地味に感じられるかもしれませんが、じっくりと対面すればその細やかな意匠の美しさに気付くはず。最初で最後のアルバムになる予感もありますが、ここまでの作品を作るなら何らかの形でいつか復活して欲しいですね…。ゴシックドゥームのファンには勿論お勧めですが、ダークアンビエントやポストロックがお好きな方にも是非挑戦して頂きたい傑作に仕上がっています。

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