The Florist “Blood Music”
Release : 2016/6/22
Genre : Shoegazer / Post Rock
Samples : Youtube
Tracklist :
- Disintegration
- Sadness Like Water Raining Down
- Love And Hate
- Halcyon
- Romance ★オススメ
- Untitled
- Marigold
- Ghosts
- Sweet Decadence
- Weird Dreams
- The Last Dance
STARBOARD、School Food Punishment、Tribal Chair、Nature Livingで活躍していたメンバーが集って結成された国産シューゲイザーバンド、The Floristの2ndアルバム。今作からドラムが元The Feather Sideの蛭間孝充に変わっています。
彼らの音楽に触れるのは今作が初体験なのですが、やたらとクオリティーが高い。仮にbandcampで公開されたら直ぐにシューゲイザーのbest-sellingに躍り出そうなくらい。良い意味で日本人離れしているし、良い意味で日本人しています。シューゲイザーを軸にエモやポストロック、ニューウェーヴ、曲によってはポストブラックメタルまで吸収して、こぶしの効いた日本的メロディーラインを程よくブレンドさせた、絶妙に耳馴染みの良い幻想的なサウンドスケープ。シューゲイザーというと圧迫感のある分厚いノイズギターを思い浮かべてしまうけれど、本作の作風はとてもマイルドで、奥行きのある透明感が印象的です。ディストーションとクリーントーンを巧みに操るギターフレーズに揺られながら、セピアピンク色の蕩けそうなメロディーがリスナーの心をドロドロに溶かしてくれる、魔性の作品です。
キラキラと瞬くエレクトロニクスとクリーントーンのギターリフ、叙情的なメロディーを紡ぐ歌唱で北欧産ドリームポップとシューゲイザーを繋げてみせる#1. Disintegration、小気味良いカッティングギターと落ち着いたトーンの歌が爽やかに駆けていく#2. Sadness Like Water Raining Down、繊細なギターフレーズとヴォーカルの裏で、図太くメロディアスなベースラインが浮かび上がる#3. Love And Hate、スピーディーにリフを刻むギターとベースフレーズ、ヴォーカルの退廃的な歌声が疾駆する#4. Halcyon、アコースティックギターとベースの妖艶なユニゾンが、美しく煌くギターフレーズと揺蕩うヴォーカルを対比的に引き立てる#5. Romance、ピアノとアンビエントシンセ、緩やかなギターフレーズが揺らめく美しいインストナンバー#6. Untitled、Deafheavenの2ndを想起させるようなブラストビートと多幸的なシューゲイズサウンドを披露する#7. Marigold、リバーブの効いたリードギターと力強くトライバルなドラミングがどくどくと高揚感を煽る#8. Ghosts、反響する乳白色のギターフレーズとヴォーカルが聴き手の心を浄化する#9. Sweet Decadence、インディーロック風の牧歌的で軽やかなギターの旋律と小走り気味なドラミングが和みをもたらす#10. Weird Dreams、銀盤やストリングスの音色を織り交ぜながら徐々にレイヤードしていくアンサンブルが、後半の神々しいシューゲイズサウンドへと帰結するドラマチックなラストナンバー#11. The Last Danceまで、素晴らしい楽曲の連続。多幸感を煽る美しいシューゲイザーの宝庫です。
「Blood Music」というタイトルには、この4人でしか創れない音楽という意味が込められているそうな。まさにその想い通り、海外と日本の感性をクロスオーバーさせた無二の音楽性に仕上がっていると思います。日本からこういったバンドが出てくるのは嬉しいので、末永く活動してもらいたいですね。年明けにはあのNothingの来日ツアーにも帯同するようで、これからの躍進に益々期待がかかる存在です。
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