The Party / Andy Shauf

Release : 2016/5/20

Genre : Acoustic / Folk / Indie Pop

Samples : bandcamp / Spotify

Tracklist :

  1. The Magician
  2. Early To The Party
  3. Twist Your Ankle
  4. Quite Like You
  5. Begin Again
  6. The Worst In You  ★オススメ
  7. To You
  8. Eyes Of Them All
  9. Alexander All Alone
  10. Martha Sways

カナダ出身のシンガーソングライター、Andy Shaufの3rdフルアルバム。彼の作品を聴くのは本作が初めて。

ナイーヴな歌声と素朴なビート、優しげなピアノとアコースティックギターによって紡がれるセピア色の音像が、時に豪勢なストリングスやブラスサウンドに彩られながら、楽しげに、穏やかに進行していく。私達のような一般庶民が時々催した、身内や友達だけの小さなパーティーの一幕のように、等身大のワクワク感やほのぼのとした空気に満ちた作品。そして彼の天才的なメロディーセンスも相まって、子供時代の暖かい思い出が自然と込み上げ、同時に完成された芸術品のような極上の美しさを目の当たりに出来る名盤に仕上がっています。

シンガーソングライターでマルチ・インストルメンタリストでもある彼は、ストリングス以外の全ての演奏を自身で行っているそうな。技術的な事はわかりませんが、演奏がまるで一つの楽器によって生み出されていると錯覚してしまう程に、各パートが極自然に補い合うように聴こえる事は、彼のプレイヤースキルの高さを伺わせる一つの指標になるかもしれません。豪華なストリングス・セクションとオーケストラルサウンドのカーテンに隠れて、哀愁と少しばかりアンニュイな影が差すピアノと歌声が踊る#1. The Magician、かき鳴らされるアコースティックギターの悲しげな旋律、メランコリックなピアノの音色と沈んだヴォーカルワークがセンチメンタルな気分に浸らせる#2. Early To The Party、童話的なピアノと宅録風の暈した歌声が、まるで幼少期をビデオテープで見ているかのような生暖かい気持ちを喚起する#3. Twist Your Ankle、流れるようにリズミカルな歌声がささやかで美しいコーラス、ポップなピアノの音色を伴って人懐っこく駆け寄る#4. Quite Like You、ピアノと繊細なビートをバックに、サビで叙情的な歌のメロディーを反響・爆発させる#5. Begin Again、ピアノとブラスセクション、ギター、そしてヴォーカルのコミカルで美しいユニゾンが堪能できる#6. The Worst In You、ループする軽やかなアンサンブルを、静かな情熱を燃やす歌のメロディーが雰囲気たっぷりに踊る#7. To You、陽気なアコギとヴォーカルラインを軸に、銀盤とブラスセクションを交えながらトロピカルな風を吹かせる#8. Eyes Of Them All、コロコロと心地よいパーカッションとドラムのリズムが歯車のように噛み合って、癒し系の曲調に大きなグルーヴを生む#9. Alexander All Alone、ラストはアコースティックギターと浮かび上がる歌声が子守唄のように木霊する、穏やかな弾き語り風バラード#10. Martha Swaysで幕を閉じます。

勉強不足でこの手の音楽の文脈は殆ど分からないのですが、たった一つ確信出来たことがあります。それは本作のメロディーが、今年聴いた殆どの音楽よりもずば抜けて美しいってこと。メタルファンやプログレファンが多い(と思われる)当ブログの読者の肌に合うかどうかは分かりませんが、個人的には彼の作るメロディーにTim Christensenと繋がるものを感じたので、もしかしたらTimのソロやDizzy Mizz Lizzyがお好きな方にも受け入れられるかもしれません。そうでなくとも懐かしい気持ちに浸りたい、美しいメロディーを堪能したい方には是非チャレンジして欲しい逸品です。