In the Passing Light of Day / Pain of Salvation

Release : 2017/1/13

Genre : Progressive Rock / Metal

Samples : Youtube

Tracklist :

  1. On a Tuesday  ★オススメ
  2. Tongue of God
  3. Meaningless
  4. Silent Gold
  5. Full Throttle Tribe
  6. Reasons
  7. Angels of Broken Things
  8. The Taming of a Beast
  9. If This Is the End
  10. The Passing Light of Day

スウェーデンのプログレッシブロック/メタルバンド、Pain of Salvationの10作目となるスタジオ・フルアルバム。

本作は前作『Road Salt Two』から約5年のスパンを開けてのリリースとなるのですが(セルフカバー等を中心とした企画盤『Falling Home』(2014)は純粋な新作とは言えないので除いています)、その間(具体的には2014年初頭~半年ほど)にフロントマンDaniel Gildenlöwを襲った致命的な細菌感染症と、長い入院生活を抜きにして語ることは出来ません。感染からほんの数時間のうちに突然死の可能性と直面し、抗生物質もモルヒネも役に立たない耐え難い痛みと、絶望感。本作はそんな心情を反映してか、過去のどの作品よりもヘヴィでダークなアンサンブルを聴かせてくれます。また本作では長い時を過ごした”ベッド”それ自体を着想の起点とし、出産や家族の死、認知症などの病気、恋人や家族と過ごす時間といった、ベッドからベッドへのうつろいと共に不可避的に経験する人生の物語を表していて、そこには上に述べた死への絶望だけでなく、変化に対する希望や生への渇望が含まれています(特に後者については『The Animal』(獣)と表現され、社会生活では枷となるその本能のようなものも、死の危機に窮した時には活力となり自らを助けてくれるとしています)。そして、それらは彼らの持ち味である卓越したソングライティングセンスとリリカルで情熱的なメロディーによって、極めて豊かに描かれています。

本作を聴いて、往年の名作『The Perfect Element Part.1』『Remedy Lane』を想起するリスナーも多いでしょう。#1. On a Tuesdayで早速登場するヘヴィで変則的なギターリフや、Danielのエキセントリックなヴォーカルワークはかつての”Used”や”Handful Of Nothing”といった名曲を直ちに思い出させてくれます。しかし最終的な仕上がりは、『Be』の幻想的でオペラチックな演出や、『Road Salt』シリーズでのフォークやトライバルなクラシックロックへの情景をも強固に繋げた、総括的でハイブリッドな音像です。人生のあらゆる場面に光を当てたユニークなコンセプト設定と合わせ、本作には彼らのより成長した姿が強く息づいています。

個人的な好みに従えば、彼らの生み出す美しく退廃的なメロディーにやはり注目してしまいます。#3. Meaninglessのサビの高揚感や、#4. Silent Goldの悲痛さと美しさが同居する旋律、#7. Angels of Broken Thingsで披露するエモーショナルで爆発的なギターソロ、15分を超えるラストナンバー#10. The Passing Light of Dayの静かに輝く歌のメロディーには抗えない魅力があります。そして予想も付かない緩急を生み出す変則的なリズムセクション!変則的なだけでなく、キレも素晴らしい(Leprousなどにも全く負けていない)。上述したオープナー#1. On a Tuesdayや#6. Reasonsが特筆的で、そのまま本作のキラーチューンとして君臨しています。

素晴らしいソングライティングとDanielの歌の表現力がコンセプトの重さを優しく包み込み、思考を促しながらスムーズに聴き通す事が出来る良い作品です。個人的な最高傑作は『The Perfect Element Part.1』から揺るぎないけれど(これは全てのプログレッシブメタルの中で最も素晴らしい作品と思っているため特別である)、『Remedy Lane』や『Be』、『One Hour By The Concrete Lake』といった傑作群と肩を並べるものだと思います。Thinking Man’s Metalとはポストメタルによって生みだされた言葉だけど、彼らにこそ相応しい称号だと思わせてくれる逸品。

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