I See You / The xx

Release : 2017/1/13

Genre : Indie Rock / Pop

Samples : Youtube / Spotify

Tracklist :

  1. Dangerous  ★オススメ
  2. Say Something Loving
  3. Lips
  4. A Violent Noise
  5. Performance
  6. Replica
  7. Brave For You
  8. On Hold
  9. I Dare You
  10. Test Me

英ロンドン出身の3人組インディーポップ/ロックバンド、The xxの3rdフルアルバム。

メロウなベースサウンドと控え目なビート、麗しい残響ギター、アンニュイな調子で儚いメロディーの洪水を生むヴォーカルワーク。若干20歳近くの年齢でデビューした彼らの音楽には、密室の中で独り語りを繰り返すナイーブな若者の青春がありました。その音楽のクオリティーの高さだけでなく、ただひたすらに「内省」を促す音像は現代の精神事情にもぴったりはまったのか、2009年のデビューアルバム『xx』からイギリスのナショナルチャートで最高3位を記録し、3年後の2ndアルバム『Coexist』に至ってはイギリス国内のチャート1位に留まらず、ヨーロッパ各国で爆発的なセールスを記録するスマッシュヒットとなりました。

前作から4年振りにリリースされた本作は、まず音楽性の面で変化がもたらされています。雑に一言で表せば「開放的になった」。1曲目を飾る“Dangerous”は本作屈指のキラーチューンですが、そこでファンファーレのように鳴らされるホーンの音色がそれを象徴しています。全体的にメロディーはより甘美なものとなり、各楽器の主張具合がより強くなりました。またストリングスやユニークなパーカッションの音色も追加され、カラフルな音像を楽しむ事が出来ます。しかし、最終的にはOliver Sim(Vo/B)とRomy Madley Croft(Vo/G)2名の歌唱こそ本作のハイライトと言うべきかもしれません。セクシーでフェミニンな香気を漂わせた力強い歌唱は、ひたすら内向きの独り語りのようだった過去作と比べ、リスナーにメッセージを届けようとする強い意思を感じさせます。そして全体を強烈な空間系エフェクトで覆うことで、まるでドリームポップを聴いているかのような、夢心地の音楽体験へと導いてくれるのです。1曲目以外にお気に入りなのは、軽やかなビートに乗るポップなギターリフレインと歌のマッチングが絶妙な#2. Say Something Loving、泡のように浮かんでは消える幻想的な電子音をバックに、2名のムーディな歌のデュエットが波打つように現れる#3. Lips、ドリーミーで柔らかいギターリフと銀盤の音色、終始穏やかなトーンの歌唱がリラックスさせてくれる#6. Replica、去年のJamie Smith(Key/Programming)のソロ作品を思わせる、サンプリングボイスを駆使したリズミカルなポップチューン#8. On Hold、アンビエントシンセや空間系エフェクトによって膨張したギターサウンドとヴォーカルの歌唱が、美しく雄大な空間を構築していくハウス風ナンバー#9. I Dare Youなど。総じてハイクオリティーな仕上がりとなっています。

ブックレットに記された「私達の視点(音楽)を通じてあなた自身(の人生)を振り返って欲しい」といった趣旨のメッセージが、文字通り本作の全てを表しています。音楽性にいくらかの変化はありましたが、内省を促す音楽であるというその核心は変わらない。唯一明らかに”進化”したのは、演者とリスナーが各々に内省に耽っていた過去のやや断絶した姿ではなく、演者が音楽によってリスナーと積極的に精神調和を図ろうとするアクションの痕跡をひしひしと感じさせる点です。音楽的変化に対する賛否は分かれるとは思いますが、ハマる人にはきっと傑作1stアルバムと同じくらい魅力的に映ると思います。

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