Rennen / SOHN

Release : 2017/1/13

Genre : Electronic / R&B

Samples : Youtube / Spotify

Tracklist :

  1. Hard Liquor  ★オススメ
  2. Conrad
  3. Signal
  4. Dead Wrong
  5. Primary
  6. Rennen
  7. Falling
  8. Proof
  9. Still Waters
  10. Harbour

ロンドン出身のシンガーソングライター兼プロデューサー、Christopher TaylorことSOHNの2ndフルアルバム。

2005年以降、Trouble Over Tokyoとして4枚のフルアルバムをリリースした後、2012年に自身を新たなソロプロジェクトとして再定義したのがこのSOHN。SOHNとはドイツ語で”息子”を意味し、短く穏やかな語感と、白いキャンバスに色を塗るかのような多彩な発展性を意図したネーミングだそうな。Pitchforkをはじめとする多くの海外メディアに歓迎される事になった、4ADからリリースされた14年作のデビューアルバム『Tremors』は、オーストリアの首都ウィーンを拠点にして制作されたものでした。Michael JacksonやThom Yorkeをリスペクトしているという彼の作品は、ミニマルな電子音を基調にした孤独で、夜行性の音楽でありながら、彼自身の甘美な歌声によって非常にポップに彩られていました。

それは新作『Rennen』でも変わることのない魅力ですが、こちらはより肉感的なバイブスを感じられるようなサウンドとなり、ムーディで熱気の篭ったR&Bとしての色が濃くなっています。積極的にグルーヴを生み出すビートとエモーショナルな歌声、メロディアスなシンセサウンドを加えて生み出される情景は、前作から引き継いだミニマルな夜の音像と混ざり合って、セクシーなネオングリーン色へと変貌を遂げています。制作拠点をウィーンからロサンゼルスに移したこともあり、あちらの雄大で穏やかな気候が本作の作風にも影響したのかもしれません。Rennenはドイツ語で「走る」とか「ダッシュする」という意味があるのですが、その名の通り、本作には前作であまり感じられなかった衝動感や情熱といったものが、より強く反映されているように思います。#1. Hard Liquor#2. Conrad#3. Signal#4. Dead Wrong#8. Proof等は特にそれが顕著で、熱いバイブスを感じさせる、前作にはあまり無かったタイプの楽曲です。一方で#5. Primary#6. Rennen、#9. Still Watersのような前作の息吹を感じさせる幻想的で美しい楽曲も残されています。しかし全体的に熱気が底上げされているのは事実で、神秘的なメロディーにただ身を任せるような楽しみを提供してくれた前作とは異なり、美しいメロディーを堪能しながらもグルーヴにノッて自らムードを高めていくような聴き方が求められます。一部リスナーからすれば若干戸惑いがあるかもしれませんが、そのサウンドは間違いなくSOHNのものなので、すぐに慣れて楽しむことが出来るのではないかと思います。

前作とはまた違った魅力を披露してくれる本作。その作風にある程度は時流の影響もあるのかもしれませんが、退化ではなく進化したと確信させてくれる、極めて高品質なエレクトロニック・R&Bを堪能出来る逸品です。