Kinfolk: Postcards from Everywhere / Nate Smith

Release : 2017/2/3

Genre : Jazz / R&B / Soul

Samples : bandcamp

Tracklist :

  1. Intro: Wish You Were Here
  2. Skip Step
  3. Bounce: pts I + II
  4. Mom: Postcards From Detroit/Floyd/Salem
  5. Retold
  6. Disenchantment: The Weight (feat. Amma Whatt)
  7. Spinning Down
  8. Pages (feat. Gretchen Parlato)
  9. From Here: Interlude
  10. Morning and Allison (feat. Amma Whatt)
  11. Spiracles
  12. Small Moves: Interlude
  13. Dad: Postcards from Isaac Street
  14. Home Free (for Peter Joe)  ★オススメ

米バージニア州出身のジャズドラマー、ソングライター兼プロデューサー、Nate Smithによる最新作。

元々ジャズに疎い私にとっては、これが彼の作品とのファーストコンタクトになるのですが、どうやらDave HollandやChris Potterと縁深い人物らしい。大学院時代に伝説的なジャズベーシストDave Hollandと出会い、2003年まで彼のクインテット及びビッグバンドで活動、翌年からはサックス奏者Chris Potterのバンドに参加し3枚のアルバムで演奏を披露したりと、華々しい経歴を携えています。R&Bに対しても造詣が深いようで、彼自身の1stアルバム「Workday, Waterbaby Music, Vol. 1.0」は、上品さと妖艶さを兼ね備えた歌モノR&Bでした。またFacebookを覗いてみると、影響を受けた音楽として上記の2名以外にSting, Radiohead, Peter Gabriel, Kraftwerkといった驚くべき面々が列挙されており、彼の底深いルーツの一端を知る事が出来ます。

本作、『Kinfolk』とは家族や親しい人・隣人といった意味を含みますが、その言葉が示唆するようにNate Smithにとっての「音楽的家族」ー 彼がこれまで親交を深め、精神を共有したミュージシャン達 ー が一堂に会して制作された作品です。Nate SmithをリーダーにKris Bowers(piano)、Fima Ephron(bass)、Jeremy Most(guitar)、Jaleel Shaw(saxophone)をコアメンバーに据え、ゲストミュージシャンとしてDave HollandとChris Potterは当然の如く、他にもLionel LouekeやGretchen Parlato、Michael Mayo、Amma Whatt、Adam Rogersらが名を連ねます。正直、名前すら知らないミュージシャンの方が圧倒的に多いのだけど、Nate Smithの名で集まったメンバーに外れは無いと思うし、実際に本作では素晴らしい演奏ばかりが披露されているので、これを機に沢山の良いミュージシャンを勉強させてもらえたと思っています。

あまり彼のプレイが収録されたアルバムを聴き込んでいないので自信はありませんが、スコン!と抜けの良いドラミングでグルーヴを生み出すプレイングは、彼の特徴の一つと言って良いと思います。暖かく穏やかな作風の本作でも、その美点はやはり存分に発揮されているように感じました。ドラムとベース、サックスを前面にした跳ね回る演奏で、クールなメロディーと力強いグルーヴの波を生む#2. Skip Step#3. Bounce: pts I + II#7. Spinning Down#9. From Here: Interlude、ソプラノサックスと銀盤のメランコリックな旋律がノスタルジックなそよ風を吹かせる#5. Retoldおよび#11. Spiracles、煌びやかなストリングスやピアノの音色に彩られ、女性ヴォーカルの歌が艶やかに舞う#6. Disenchantment: The Weight#8. Pages#10. Morning and Allison、そして悲哀の感情を帯びたオーケストラの音色をバックに、サックスとピアノが情念たっぷりにこぶしを利かせるラストナンバー#14. Home Free (for Peter Joe)と、さながら映画のように滑らかに場面を切り替えながら、淡く牧歌的な音像を作り上げています。また他ジャンルからの影響を感じさせるフレーズや工夫、洗練された歌もの楽曲の存在が、総じてモダンな印象をもたらしてくれます。

熟練の彼らにしか生み出せないスリリングなアンサンブルと、今のインディーシーンにも通じるような儚く美しいメロディーラインが交差した本作は、ジャズという音楽が持つ無限の可能性を、私の様な素人にも否が応でも分からせる説得力に溢れています。ジャズだけでなくR&Bやポップス、ロック、エレクトロ・ミュージックにまで精通した彼の作り出す音楽が行き着く先がどんなものになるのか、覗いてみたいと思わせる底知れない懐の深さと、魔性の魅力を垣間見た傑作でした。

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