Enter Escape / The Ralph

Release : 2017/2/20

Genre : Progressive Metal

Samples : bandcampYoutube

Tracklist :

  1. End of Everything
  2. Next In Line
  3. Enter Escape
  4. Means End
  5. Detached  ★オススメ
  6. Delimiter
  7. Years Away
  8. Reflux
  9. Untouchable
  10. D.I.G.

クロアチアのプログレッシブ・メタルバンド、The Ralphの1stフルアルバム。

彼らを知るきっかけとなったのは、3年前の2nd EP『Delimiter』。凄まじいクオリティーを誇る傑作EPで、その才能にあてられた瞬間にヘビーローテーションを開始、未だによく聴いております。変則的でパワフルなリズムセクションをバックに、透過性が高く抒情的なリードギターのフレーズ、そしてDino Jelusićによる力強く魅惑的なヴォーカルが組み合わさって、ポップでありながらハイグレードな、またヘヴィでありながらアトモスフェリックな美しさを孕んだ、ハイブリッドな音像を当時から完成させていました。彼らの音楽からは、Anubis GatePeripheryTesseractDead Letter Circusといった面々を想起するリスナーも多いと思います。Dream Theaterに由来するメロディアスなプログレッシブメタルの系譜から、Djent、インダストリアルロック、オルタナティブロックに至るまでのルーツがバランスよく組み合わされた、多角的で洗練されたヘヴィーミュージックです。

あれから更に3年も焦らされるとは思いませんでしたが、待った甲斐があったと思わせてくれる、良質なモダン・プログレッシブメタルを本作でも披露しています。『Delimiter』と比較して明るめのギターやシンセのフレーズが特徴的で、ポップで豪勢な彩りが映えるミドルテンポの楽曲が多数を占めます。#1. End of Everythingからその傾向を感じさせ、#5. Detachedでその極みに達します。前作EPのタイトルナンバー#6. Delimiterは3年経った今でも色褪せないクオリティーを見せつけてくれるし、銀盤の落ち着いたトーンに癒される小曲#7. Years Awayからの後半部は、シャウトを織り交ぜたヴォーカルやアクロバティックなコーラスワークが印象的なスピードナンバー#8. Reflux、アンビエントシンセの幽玄な音色とアコースティックギターの清廉さをバックに、Destiny Potato在籍の女性ヴォーカリストAleksandra Djelmasの歌が揺蕩う#9. Untouchable、禍々しいDjentリフの応酬に、神秘的なシンセサウンドとヴォーカルメロディーが立ち向かう#10. D.I.G.と、前半部と比較してユニークな楽曲が並びます。

『Delimiter』程の衝撃性は無かったし、作風も影の濃い当時の方がやや好みではあるのですが、モダン・プログレッシブメタルのアルバムとして非常に高い水準の逸品である事には変わりありません。初めて聴かれる方は、まずは彼らの持ち味である歌やリードギターが奏でる美旋律に耳を傾けてみてください。全体的にポップでリスナーフレンドリーな音楽性ですし、このまま活動を続けて多くのファンを獲得して、いつかシーンを担う雄として君臨して欲しいですね。そのポテンシャルは『Delimiter』の時点でひしひしと感じさせてくれましたから。