Matt Martians “The Drum Chord Theory”
Release : 2017/1/27
Genre : R&B / Soul
Tracklist :
- Spend the Night / If You Were My GF
- What Love Is
- Where Are Yo Friends?
- Baby Girl
- Southern Isolation
- Found Me Some Acid Tonight (feat. Steve Lacy)
- Alotta Women / Useless (feat. Kari Faux)
- Down
- Dent Jusay (feat. Syd & Steve Lacy)
- Callin’ on Me
- Diamond in da Ruff ★オススメ
- Elevators (Bonus)
最新アルバム『Ego Death』が2016年グラミー賞の「Best Urban Contemporary Album」にノミネートされた、気鋭のR&BバンドThe Internet。先日、ヴォーカルを務めるSydが初のスタジオ・ソロアルバム(『Fin』)をリリースして話題になったばかりですね。一方、Matt Martiansはプロデューサーとしても名高い人物ですが、ここではキーボーディストとしてバンドを支えています。本作は、そのMatt Martiansにとって初となるソロ・スタジオアルバム。 SydやTyler,The Creator、Steve Lacyといった彼の仲間達も、ゲストミュージシャンやプロデューサーとして脇を固めています。
『Ego Death』のリリース後、The Internetの新作に先駆けて、SydとMartiansのソロ作品がリリースされることが予告されていました(この記事を書いている最中に知ったのですが、The InternetのギタリストSteve Lacyも先月24日にソロアルバムを出したそうです)。まずSydの新作を聴きましたが、あちらはThe Internetのアンニュイでチルなサウンドを継承しつつ、よりモダンかつクールな佇まいの作風。ヴォーカルのメランコリックなメロディーに何より意識が持っていかれる作品でした。対してMatt Martiansの新作は、軽妙でグルーヴィーなビートを軸に、コミカルなキーボードのメロディーや、ねっとりとアクの強いヴォーカル、乾いたギターのメロディーにブリブリのベースサウンド、どの曲にも遊び心を忘れない奇抜さと、リズムセクションの強靭さからロックやファンクへの接近も読み取れる作品でした。
モダンでエッジーで、スタイリッシュだったSydの作品と比べ、こちらは人間臭く、気怠さが怪し気な香気として広がるサイケデリックな逸品。それぞれが違ったベクトルで完成度を極めていて、どちらが優れているとか分析するのはあまり意味の無い事のようにも思えます。本作についてはどの曲も一筋縄ではいかない、面白いものばかりなのですが、ハイライトとして相応しいのは#9. Dent Jusay~#11. Diamond in da Ruffの流れ。この3曲は、どこか暗さや気怠さがのしかかる序盤~中盤の流れを吹き飛ばすような、強烈な爽やかさやポップネスが特徴的。この楽曲配置のおかげで、アルバム通して聴いた後も殆ど疲れが残りません。
この手の音楽に関して、知識や語る言葉を殆ど持ち合わせていないのが残念でなりません。本作には、予備知識無しの人間があっさりとローテーション中毒に陥る程には、抗い難い魅力が備わっています。また今年中にThe Internetとしての新作リリースも予定しているそうで、素晴らしいソロ作品を作り上げた彼らがどんな形で再集結を果たすのか?今年はThe Internetの年になるのか?というワクワク感と共に、今から楽しみに待っていようと思います。
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