Antiphon / Alfa Mist

Release : 2017/3/3

Genre : Jazz / Soul / R&B

Samples : bandcamp / Spotify

Tracklist :

  1. Keep On
  2. Potential
  3. Errors
  4. Breathe (Feat. Kaya Thomas-Dyke)  ★オススメ
  5. 7th October
  6. Kyoki
  7. Nucleus
  8. Brian

ロンドン東部、ニューハム出身のビートメイカー/プロデューサー兼作曲家、Alfa Mistの最新作。

2015年のソロデビューEPのリリース、また同郷のTom MischとのコラボやEmmavieとのプロジェクト等を経てリリースされた本作は、彼のルーツを再確認させてくれる作品。前作ではほぼ全ての楽曲でヴォーカルを起用し、音楽性もR&Bやソウルミュージックとしての性格が強かったのに対し、本作では明確にジャズを土台として制作されています。

ドラムによる技巧的で独創的なテンポ感、淡くエキゾチックなキーボードのメロディー、リリカルでムーディなギターフレーズ、トランペットとサックスが微熱を吹き込み、ベースが奥行とダークな空気感を創り出す、本作は極めて思索的で、美しいコンテンポラリー・ジャズの傑作です。英国的なウェットに富みつつ、どこかミステリアスさやオリエンタルな雰囲気漂う音像は、Avishai Cohen Trioをリスペクトしているという本人の談を思い出させます。勿論、前作で印象的だったR&Bやソウルの要素も本作ではフレーバーとしてしっかり機能していて、オリジナリティーの創出に一役買っています。

個人的には、前作でも起用したKaya Thomas-Dyke(本作の一部の曲でベースも務めています)を女性ヴォーカルとしてフィーチャリングした、#4. Breatheが一番のお気に入り。泡立つような銀盤の旋律と、乾いたサックスの音色、そこにロートーンの揺蕩うような歌声が優しく乗って、夢心地のサウンドを作り出しています。終盤に差し掛かるとピアノとストリングスの激しいデュエットが生まれ、ノスタルジックでセンチメンタルな印象を一気に膨らませてくれる名曲です。その他にも、ダウナーなキーボードとサックスに揺られながら、力強く自在にリズムを作るドラムが印象的な#1. Keep On、サックスとキーボード、ギターのクールで郷愁を誘うフレーズにじっくりと浸れる#3. Errors、前半はギターを、後半はサックスを主役に据え哀愁深いメロディーをこれでもかと浴びせる#7. Nucleusも良い。

先入観が無ければ円熟味すら感じてしまう本作を、弱冠25・6歳という若さで、大したリリース期間も空けずに作り上げてしまうのだから恐ろしい。前作も含めて日本ではまだ余り話題になっていないアーティストのようなので、これを機に是非その才能に触れて欲しいです。アルバムアートワークのように優しく暖かい作風で、とても聴き易いですよ。