healing / In Love With A Ghost

Release : 2017/3/3

Genre : Chillwave / Electro Pop

Samples : bandcamp / Spotify

Tracklist :

  1. introduction
  2. i was feeling down then i found a nice witch and now we’re best friends
  3. welcome at azerty and qwerty’s home
  4. chilling at nemu’s place
  5. i know it’s not easy but you’re not alone anymore
  6. i hope you don’t mind if i come here to cry
  7. qwerty enchanted the house and now it’s attacking us
  8. let’s walk across this forest, i can feel that everything is real again  ★オススメ
  9. am i a girl? am i a boy? do i really care? i’m hungry anyway
  10. healing

フランス、パリを拠点とする謎多き作曲家、In Love With A Ghostの最新作。

bandcampSoundCloudを中心に、インターネット上で大きな人気を集めるアーティスト。残念ながら日本では、まだあまり知名度が及んでいないようです。ただ、上記のようなインターネット上の音楽プラットフォームをよく利用する方であれば、少なくとも名前は見た事があるかもしれません。

名は体を表すとよく言いますが、このアーティストに関しても例外ではありません。穏やかなダウンビートにひんやりとしたピアノ、ローファイシンセのぼけぼけしたサウンド、どこからともなく木霊するサンプリングボイス。彼らがまるで幽霊のように自由に浮遊して、掴みどころのない音像を作り上げています。そして、幽霊という言葉に付随する「恐怖」や「不穏さ」といった要素は彼(彼女?)の音楽には含まれません。洗練された音作りでありながらも、メロディーは日本のアニメやゲーム音楽からも影響を受けたと思われる、ポップで、メランコリックで、親しみやすさを覚えるもの。比較的、日本のサブカルチャーに近い位置にいるフランスならではの音楽です。またエレクトロミュージックとしての性格が最も強いと思いますが、所々でバンド音楽的なバイブスを感じることもあります。チルウェイブ等と並んで、Sigur Rosをはじめとするポストロックにも影響を受けていると公言している点が、そこで反映されているのかもしれません。

本作はそんなIn Love With A Ghostの側面であった少女チックな可愛さと、センチメンタルな気ままさが強く描かれた作品です。本作が「魔女との友情物語」であるという事以外、主だった情報は公開されていませんが、楽曲のタイトルからは、魔女との好意的な出会いや、ちょっとしたトラブル・対立、孤独の解消といった場面が読み取れます。音楽はそれらをシリアスに描くのではなく、平和で穏やかな世界のエピソードとして、過去作と比較しても極めてキャッチーに表現されています。ポップな8-bitサウンドも積極的に織り交ぜたりと、彼のディスコグラフィーの中で最も「アニメ、またはゲーム的」な作品と言って良いかもしれません。これまで通り歌詞はありませんが、一貫した世界観の基で、10曲約16分があっという間に消費されます。個人的には登場人物の一人、qwertyとの戦闘シーンを描いたと思われる#7. qwerty enchanted the house and now it’s attacking usから、手を取って平和な世界へとまた帰っていく#8. let’s walk across this forest, i can feel that everything is real againの流れが好き。

本作の登場人物(Facebookページより artwork by Sarlis)。左からqwerty -> unknown(主人公?) -> nemu -> azerty。他のアートワークなど見るに、unknown以外は全員魔女っぽいですね(nemuちゃん可愛いよnemuちゃん)。あとちょっとクスッときた点があって、bandcampページを見るとわかるのですが、彼ら登場人物がそのまま本作の制作メンバーとしてクレジットされているのです。例えば、本作のピアノはunknownが、シンセはnemuとazertyが担当しているそうですよ。

普段物々しい音楽を聴いている諸氏は、是非この音楽を聴いて癒されてみてください。この独特の世界観にさえハマれば、あとは音楽のなすがまま。アニメやゲームにおける、ポップな雰囲気が好きならオススメです。尚、bandcampにはこの電子ドラッグめいた音楽の中毒患者で溢れている模様。