Routines / Hoops

Release : 2017/5/5

Genre : Indie Rock / Pop

Samples : bandcamp / Spotify

Tracklist :

  1. Sun’s Out
  2. Rules
  3. On Top
  4. Benjals
  5. Burden  ★オススメ
  6. On Letting Go
  7. The Way Luv Is
  8. Management
  9. All My Life
  10. Underwater Theme
  11. Worry

米インディアナ州、ブルーミントンを拠点に活動するインディーロック/ポップバンド、Hoopsのデビュー・フルアルバム。老舗インディ・レーベル<Fat Possum>からのリリース。またWoodsのJarvis Taveniereがエンジニアとして参加しています。

先行公開された”Rules”を初めて聴いた時、彼らから耳を離せなくなりました。この、80年代~現代までを貫いた魔性のギターポップ・ソングを耳にしてから、本作をどれだけ心待ちにしていたことか。”Rules”は新作に向けて極大の期待を抱かせてくれるキラー・チューンでした。そして5月5日、遂に本作の全長を目にした時、その期待は決して過剰ではなかった事を確信したのでした。

Hoopsは2014年に結成された4ピース・ロックバンドです。フロントマンのDrew Auschermanは当初、ソロ・アーティストとしてアンビエント音楽を作っていましたが、後にバンドメイトを集めて現在の体制と音楽性に変化しました。音楽性はReal EstateWild Nothingのような、爽やかでノスタルジックなUSローファイ・インディーロックを基軸にしつつも、その裏地にはシンセポップやゴシック・ロックをはじめとするニューウェーブの刺繍が縫い込まれています。その他にもBeach Houseのようなドリームポップや、Slowdiveのような甘美なシューゲイズ・サウンドに接近する事もあったり、国籍に囚われないカラフルなサウンドを鳴らすバンドです。これまでカセット媒体で3作投下し、去年にはFat Possumと契約しセルフタイトルEPを投下しています。私にとっては本作が彼らとのファーストコンタクトでしたが、海外のウェブ系音楽メディアでは以前から取り上げられ、新作が期待されていました。また日本でも耳の早いリスナーを中心に注目を集めていたようです。

Hoopsを聴いてまず印象に焼き付くのは、全編を通じてキラキラとした輝きを放つ独特のギターサウンド。EPでも非常に特徴的でしたが、本作では当時を遥かに凌ぐ魅惑的なメロディーをこれでもかと浴びせてくれます。繊細でいて極大にキャッチーなフレージングの数々はThe Smithsからの影響も窺わせ、それらが空間系エフェクトを通過してふわっと融けていく様は、筆舌に尽くし難いほど美しい。次にメロウでフレッシュなヴォーカル。本作ではリードシンガーを固定せず、作曲を行ったメンバーがヴォーカルを担当するというユニークな手法を採用していて、楽曲によって異なる歌声を楽しむことが出来ます。いずれも色っぽくて爽やかな歌唱を披露しております。最後に美しきドラムの妙技。異常なまでにキレの良い、はじける様なビートを、手数やリズムを操りながら大きなグルーヴへと昇華させています。実はドラムこそ本作のMVPでは?と思う程の素晴らしいプレイングです。

楽曲単位では先行公開された#2. Rulesは勿論、ハイトーンの爽やかなギターフレーズの応酬が、燦々とした夏の日差しを幻視させるオープニングトラック#1. Sun’s Out、煌びやかなアルペジオギターとシンセサウンドに対し、ダウナーなヴォーカルワークが影を成して鮮やかなコントラストを生み出すメロウ・ナンバー#3. On Top、ストロークによるメロウなフレーズの雨と哀愁深いアルペジオが、極上のベッドルームポップを演出する#5. Burden、伸びやかで透き通ったアルペジオギターと気だるげな歌が絡み合って、ドリームポップさながらの夢心地へと導いてくれる#6. On Letting Go、キレの良いギターとアッパーなシンセサウンドがタッグを組み、そこに力強くメロディアスなベースサウンドが下地を敷くロマンティック・ポップナンバー#7. The Way Luv Is、爽やかなカッティングを交えて、海岸風の乾いたポップメロディーを堪能できる#9. All My Life、清廉としたギターフレーズとサックスの情熱的なプレイが交わって、クライマックスに相応しい壮麗なポップナンバーへと昇華した#11. Worryと、かつて”Rules”で与えてくれた興奮と多幸感を全編通して堪能することが出来る、素晴らしい仕上がりとなっています。

今年の現時点までに聴いた”ポップ”アルバムの中で、最も印象的な作品でした。ギターポップのアルバムでここまで痺れたことなんていつぶりだろうか。日本人にも親しみやすいメロディーが満載で、洋楽邦楽の垣根を越えて是非聴かれて欲しい傑作です。