Plethoria / L’Indécis

Release : 2017/5/31

Genre : Hiphop / Jazz / Fusion / Chillout

Samples : bandcamp

Tracklist :

  1. Her
  2. Urban Canopy
  3. Staying There
  4. The God Behind the Pines
  5. Breathless
  6. Cloud Steps
  7. The Creator
  8. Underwater  ★オススメ
  9. Interlude
  10. Wine & Roses
  11. Soundscapes

フランス南東部、グルノーブル出身のミュージシャン/トラックメイカーL’Indécisによる2017年作。本作が1stフルアルバムであるとのこと。

アルバムアートワークは同じフランス人のJeoffrey Magellanという画家が担当している。彼の貢献度を見るに、本作はL’IndécisとJeoffreyによる共作と捉えても良いだろう。ジャケット・アートに留まらず楽曲毎の情景も彼の手で描かれていて、ブックレットとして本作に付属しています(デジタル版でも付属のPDFファイルから見られるよ!)。日本のアニメ・漫画からの影響も窺わせる繊細なタッチで、生き生きとした生活美・自然美と裏に潜む退廃感が鮮やかに描かれた、素晴らしい作品集です。

主役である音楽の方もまた素晴らしく、ヒップホップのビートを軸にトリップホップ、ジャズ、フュージョンからマスロック、エレクトロニカまで幅広く採り入れた、ノスタルジック&チルな仕上がり。ギターやベース、ドラム、ピアノ、ホーンの音色が滑らかに・有機的に絡み、良い意味で打ち込み音楽らしさが暈されたナチュラルな響きがとても心地良い。インスト音楽を志向し、また下手に仰々しく飾り立てず淡々と紡がれる音楽は、日本人の感性にも通ずる情味豊かさやほのぼのとした静謐感を伝えつつも、モダンジャズのような洗練されたスムーズ感やグルーヴもきっちり備えていて、田舎臭さや土臭さの全くないスマートな風貌をしている。ヒップホップ、ジャズ、エレクトロミュージックの素晴らしく自然なクロスオーバーをこなす曲作りの才能と、和洋折衷をも体現するメロディーメイカーっぷり。メロウでありながら「お涙頂戴」なけばけばしさも無く、いつまでも聴いていられそうな本作の制作はまさに天才の所業によるもの。

全てがハイクオリティに纏まった本作において特に気に入っているのは、ドリーミーなギターアルペジオを背に、生楽器の柔らかく包み込むような音色が寄り添う#3. Staying There、そしてピアノの音色とエレクトロニクスを散りばめたマスロック的なループ・アンサンブルが心地良い#8. Underwater。他にも多彩な良曲が揃っているので、本記事を読んで少しでも興味が湧いたら是非アルバムを購入して、全編を余すことなく堪能して欲しい。デジタルならたったの4ドルで買えるから。

日本のエレクトロニカ界隈にハマった事のある方、最近のクロスオーバージャズや、メロウ・ヒップホップ、ポストロックやマスロックが好きな方など、多彩な音楽ファン達にアピール出来る素晴らしい傑作。ノスタルジックな世界観で涼やかな風の吹く本作、今年の暑さを乗り越える清涼剤としてもいかがだろうか。