Reflections of a Floating World / Elder

Release : 2017/6/2

Genre : Stoner / Psychedelic / Progressive Rock

Samples : bandcamp

Tracklist :

  1. Sanctuary
  2. The Falling Veil
  3. Staving Off Truth  ★オススメ
  4. Blind
  5. Sonntag
  6. Thousand Hands

米マサチューセッツ州発の3人組ストーナー/サイケデリックロックバンド、Elderの4thフルアルバム。イギリスのStickman RecordsとアメリカのArmageddon Labelからリリース。マスタリングはLo-PanやSannhetの1stフルを手がけた気鋭のエンジニアCarl Saffが続投しています。

Kyuss直系の無骨なストーナーロックに徹していた2008年のデビューアルバムから、加速度的に進化を続けているのがこのElderというバンド。ルーツであるストーナーロックとしてのスタイルは頑なに守り続けながらも、プログレッシブロックやポストメタルなどのバイブスを積極的に採り入れて、作品毎にリファインを続けています。同系統のMastodonやBaronessといった先人と異なるのは、ヴォーカルを最小限に留める極端なインスト志向と、殆どの楽曲で10分を超える長尺志向。そして、それによって生じる巨大で大らかなグルーヴと強い酩酊感、自由で幅の広い演奏。その魅力は2年前の前作『Lore』で大きな高まりを見せ、インターネット上の音楽メディアを中心に賞賛が巻き起こりました。

本作では、ゲストミュージシャンとしてギタリストが2名加わっています(うち一人はペダルスティールギターを担当)。結果、ギターサウンドの厚みと表現力が過去作と比較にならないレベルで向上しています。ごりごりのヘヴィーロックサウンド、サイケデリックなストーナーロック、果てはアンビエント/ポストロックまで何でもござれ。ギターの役割が増えたことで、奏でられるメロディーもよりドラマチックになり、過去最高にメロディアスな作品になりました。また重厚化したギターに負けじとベースやドラムも更に力強く・ダイナミックになり、多彩な楽曲展開を彩るキーボードの音色はより大胆に・効果的に使われるようになりました。彼ら自身のスキルアップに加え、ギタリスト2名を追加した事で相乗効果の波を生み、作品全体の活気が凄まじい事になっています。彼らの現時点におけるディスコグラフィーの中でも最も聴きやすく、かつ最もハイクオリティーな作品に仕上がりました。

10分を超える序盤の長尺4曲が圧巻の一言。オープナーの#1. Sanctuaryから彼らの進化っぷりを存分に堪能することができます。幻想的なドローンエフェクトやキーボードの音色を交えながら、緩急織り交ぜた演奏で繰り出される轟音の大波がとてつもなく心地良い。最も衝撃的だったのは#3. Staving Off Truth。透明度の高いアルペジオギターの旋律に始まるこの曲、ストーナーロックにアンビエントロックの繊細さを器用に組み込んでみせる、素晴らしい才気が伝わる一曲です。加えて本作におけるもう一つの異色、#5. Sonntagも特筆すべきです。ジャムセッション風のアンサンブルで反復する渋いベースの音色と、ギターの幻想的なリバーブ。この楽曲の存在がクライマックスナンバー#6. Thousand Handsを最大限に引き立てるのです。#5によって凝縮されたサウンドスケープを開放的なヘヴィロックナンバーで一気に解き放つ様は、単なる快感を通り越して神聖な趣すら感じるほど。

アルバムのイントロから、アウトロの一秒に至るまで隙が無い凄まじいアルバム。従来からのファンは勿論、モダン・プログレッシブロックやポストメタルがお好きな方には更に勧めやすい作風になりました。現代のヘヴィロック・シーンにおける最前線の世界が見たい方は、是非本作を手に取って堪能してみてください。