theme02 Night and Wanderer / Chouchou

Release : 2017/8/11

Genre : Ambient / Electro Pop

Samples : bandcamp

Tracklist :

  1. l’heure bleue
  2. Arkadia
  3. 1619kHz
  4. träumerei
  5. aldebaran ★オススメ
  6. Colors
  7. DISPATCHER
  8. everlasting
  9. ray
  10. Uroboros

インターネット上の仮想世界(メタバース)で結成された2人組国産Ambient / Electro-Popユニット、Chouchouの最新作。「theme02」は通算2枚目のコンセプトアルバムであることを指しています。

前作『ALEXANDRITE』(2015)は「Chouchouとしてのポップの再定義」を目指して作られただけあって、極めてポップ&キャッチーな作品でした。本分であるエレクトロ・ミュージックの領域を多少踏み越えてでも、自らの理想とする「ポップ」を実現しようとする執念を感じる内容で、完成度も2015年屈指だったと思います。そんな野心作に一目惚れし、新作を待ちわびてはや2年、待望の新作が遂にリリースされました。Night and Wandererと名付けられた本作は『夜の旅』をテーマに、深夜の外出欲・孤独欲にそっと寄り添ってくれる作品。ラジオのニュース番組風の#3. 1619kHzの存在や、全体を覆う無機質でメトロポリタンな電子音、夜風を感じさせる銀盤の音色など、まさに夜のドライブにぴったりはまる作風です。

サウンドは静謐としたアンビエント・ポップに回帰していますが、メロディーはとてもキャッチーに仕上がっていて、『ALEXANDRITE』から良質なフィードバックがあった事を感じさせます。イントロ後のオープナー#2. Arkadiaは、Chouchou印の透き通ったアンビエント・ポップ。julietの儚げなウィスパーボイスは相変わらず魅力的の一言。続く#3. 1619kHzは本作でも異色のナンバーで、ラジオの交通ニュース風のナレーションが歌詞となっています。やや舌足らずで幼さを残す声が、機械的な歌詞と組み合わさって、恐ろしさと可愛さが同居した不思議な楽曲に。進行するにつれ歌詞の意味がぼろぼろと崩壊していく中、突如カットインする「現実の確認をお勧めしております」という警告に思わずドキリとさせられる。続く#5. aldebaranは前作からの繋がりを直感させる非常にキャッチーな楽曲。強かなビートとメロディアスな歌が、静かな疾走感と共に心を沸き立たせてくれるキラーチューンだ。#6. Colorsは一転してダウナーな作風だが、メランコリックな歌声と泡のように浮いては消えていく電子音によって、夜の情景と最高の親和性を見せつけてくれます。#8. everlastingは本作で最もアブストラクトで幻想的な一曲。深潜するアンビエントシンセと伸びやかな歌声が調和した美麗なアトモスフェリックナンバーです。逆に#9. rayは本作で最も疾走感のある楽曲で、タイトルが示唆するように夜明けを感じさせる明るいシンセの音色が煌くアッパーチューンに仕上がっています。そして終幕を飾る#10. Uroborosは旅の余韻を漂わせるメランコリックな一曲。julietが蕩ける様な歌声で「おやすみ」を囁いてくれる、至高のバラードです。

「夜の旅」をテーマに、それを彩る音楽として極限まで洗練された音楽だと思う。夜の喧騒ではなく静けさを表現したのが彼ららしい。前作とは思い切り毛色は違うが、こういった路線こそ彼らにとって十八番である事を実感させてくれました。そういえば以前ベタ褒めしたAnathemaの新作も「あてのない旅(逃避行)」をテーマとした作品だったので、今年はそういった作品と縁があるのかもしれない。今年の私は何かとセンチな気分に浸りたいようだ。マイカーを持っている方は本作を手に、深夜ドライブに駆け出してみてはいかがでしょう。