Soccer Mommy “Clean”

Country : USA

Relase : 2018/3/2

Label : Fat Possum

Genre : Alternative / Indie Pop

Samples : bandcamp

Tracklist :

  1. Still Clean
  2. Cool
  3. Your Dog
  4. Flaw
  5. Blossom (Wasting All My Time)
  6. Last Girl
  7. Skin  ★オススメ
  8. Scorpio Rising
  9. Interlude
  10. Wildflowers

先行公開されていた楽曲”Your Dog”を初めて聴き、メロディーメイカーとしての凄まじい才能を感じ取ったのが1月。そして今日までの2ヶ月間は悶々としながら過ごしていました。彼女は私の期待を超えていくのだろうか。一体、どれだけ素晴らしいアルバムを届けてくれるのだろうか…と。そして遂にアルバム『Clean』を手に入れ、その全貌を目にしたとき、2018年のインディーシーンは安泰だと思いました。そんな冗談のような臨在感を覚えてしまうほど、このアルバムは凄まじい完成度を誇っています。

スイスに生まれ、米ナッシュビルで青春時代を過ごした彼女…Soccer Mommyことソフィー・アリソン。20歳。幼少期からギターに触れ、ミュージシャンを志した彼女はナッシュビルの芸術系高校に通いました。高校ではパンクバンドの男の子と付き合っていたらしいのですが、彼の音楽性に染まる事はありませんでした。ロックと同様にポップスにも大きなルーツを持つ彼女は、ナッシュビルの男だらけのパンクシーンには馴染まないと直感していたのです。ニューヨークの大学で音楽ビジネスを学びながら、彼女はbandcampでひっそりと自作の楽曲を公開し始めます。それがSoccer Mommyの始まりでした。やがて口コミによって人気の輪はどんどん大きくなり、2016年にOrchid Tapesと、2017年にはFat Possumと契約を結ぶまでになります。

Sufjan Stevensを筆頭に、MitskiやAlex G、Angel Olsenが代表するインディーズのシンガーソングライター市場には若手含め根強い活気がありますが、このSoccer Mommyは間違いなくその中でも上位に切り込めるだけの才能を持っています。『for young hearts』(2016)や『Collection』(2017)でもその片鱗は見せていましたが、本作はまさに「桁が違う」。初のスタジオアルバムというだけあって音質は勿論素晴らしいのですが、それ以上にソングライティングの力がメキメキと成長している事が窺えます。儚さと親しみやすさが同居したメロディー、ロックやフォーク、サイケまで調和させたユニークな演奏、どこかアンニュイな印象をもたらす歌唱、は更に特筆的なものとなり、シンガーソングライターとして確固たるオリジナリティーを打ち立てています。明るさよりも怒りや哀しみ、嫉妬、後ろ暗さを感じさせるような歌詞もギャップがあって良いです(歌詞はこちらから全て確認できます)。私のような日陰者にはうってつけのじっとり感の強いアルバム。こういうじとじとしたアルバム大好きなんですよね。先行公開曲の”Your Dog”も良いけど、”Cool”や”Last Girl”の鬱屈した明るさ、”Flaw”や”Skin”の涙腺崩壊メランコリック・メロディーも素晴らしい…。アルバム通して全く退屈する瞬間がございません。

本作のプロデューサーにはDeerhunterやBeirut、The War On Drugsのレコーディングを手掛けたゲイブ・ワックスが、ミキサーにはPerfume GeniusやPJ Harveyを手掛けたアリ・チャントが参加しています。完璧なソングライティングに、完璧なバック体制。生まれるべくして生まれた名盤です。