Rolo Tomassi “Time Will Die And Love Will Bury It”

Country : UK

Release : 2018/3/2

Label : Holy Roar Records

Genre : Alternative / Post Hardcore

Samples : bandcamp

Tracklist :

  1. Towards Dawn
  2. Aftermath
  3. Rituals
  4. The Hollow Hour  ★オススメ
  5. Balancing The Dark
  6. A Flood Of Light
  7. Whispers Among Us
  8. Contretemps
  9. Risen

「夜明けに向かって」と題された繊細で煌びやかなアンビエント・チューンから始まる本作は、ジャケットアートもサウンドも黒一色に塗りつぶされていた前作『Grievances』(2015)とはある意味対極に位置する作品です。過剰なくらいに図太いベースラインと暴力的なドラミング、荒涼としたギターフレーズ、アングラっぽさを引き立てる強烈な残響処理がダークな印象を引き立てていた前作と比べて、本作ではポストロック顔負けの繊細なアルペジオを交えつつ心地良いホワイトノイズを撒き散らすギターに、叙情的/幻想的な光を差し込むシンセサウンド、クリーントーンの比率を増した紅一点Eva Spenceのヴォーカルワークなど、前作が”陰”ならば今作は”陽”とでも呼べば良いのか、とにかく前作から変化を感じさせる部分が多い作風となっています。しかし、複雑でささくれだったギターサウンドや男顔負けのスクリーム、メロウなベースリフ、パワフルなドラミングもまた健在であり、決して彼らがポストロックバンドになった事を意味するものではありません。彼らは依然として(ポスト)ハードコアに属するバンドであることは、本作を通して聴けば明らかです。本作は、表現者としてのRolo Tomassiの進化を堪能させてくれるアルバムであり、同時にポストハードコア作品としても他に並び立つものを思い浮かべるのが難しい、極めて高い完成度を誇る金字塔でもあります。

冒頭で述べたイントロ#1. Towards Dawnから#2. Aftermathの流れは、私たちに「クリーンなRolo Tomassi」の魅力を認識させるにうってつけのナンバーです。特に#2. Aftermathは、彼らのポップな側面を初めて暴露したと言っても良いかもしれません。これまでは荒涼とした表現のカウンターとして挿入されていたその一面が主人公として表に出たとき、ここまで美しく可憐に映るものかと驚きを感動をもたらしてくれます。続く#3. Ritualsは一転し、十八番である荒々しいハードコアナンバーが披露されます。暴力的なアンサンブルに潜むようにして鳴らされるシンセのメランコリックな旋律は昔からの魅力ですよね。本作ではこのシンセの音色がとても多彩であり、本作のバラエティー豊かな作風に大きく貢献しています。続く#4. The Hollow Hourはここまで披露された彼らの新しい顔とかつての顔、その両面を統合した総決算的なハイライト・ナンバー。陰陽・美醜・喜怒哀楽、あらゆる情景や感情がカオスとなって混濁したサウンドがサビで爆発する様は、まさに「芸術は爆発だ」というあの名言を思い出さずにはいられません。その後も、激烈な演奏に妖艶なシンセサウンドを重ねて恐怖と焦燥感を煽る#5. Balancing The Dark、力強く大きな抑揚を効かせた演奏で、破壊と寂寥を行き来しながら本作随一の壮大な情景を映す#6. A Flood Of Light、ドゥームメタル顔負けのダウナーリフの嵐から一転、美しいギターアルペジオのリフレインと共に儚げに幕を閉じていく#7. Whispers Among Usでは彼ららしいエキセントリックな一面が垣間見えます。自在なドラムワークと清廉なギターリフレイン、輝かしいシンセサウンドによる壮大なグルーヴとメロディーが心地良い#8. Contretempsと続き、クライマックスはギターアルペジオに乗せたEva Spenceの清らかな歌声が優しく木霊する#9. Risenでカーテンが降ります。

決まった型に収まらず様々な手法によって表現の可能性を拡げる事ができる、ポストハードコアの強みが最大限活かされた傑作です。ハードコアは人を圧倒するだけでなく美しさで人を魅了したり、感動させることも出来るんですね。これは発見です。