The Crown “Cobra Speed Venom”

Country : Sweden

Release : 2018/3/16

Label : Metal Blade Records

Genre : Death Metal / Thrash Metal

Samples : bandcamp

Tracklist :

  1. Destroyed by Madness
  2. Iron Crown
  3. In the Name of Death  ★オススメ
  4. We Avenge!
  5. Cobra Speed Venom
  6. World War Machine
  7. Necrohammer
  8. Rise in Blood
  9. Where My Grave Shall Stand
  10. The Sign of the Scythe

重量車を動かすには相応のエンジンが必要とされるように、重いリフを操るヘヴィメタルでも強力なエンジンの役割を果たす演奏が不可欠です。そして、数あるヘヴィメタル・バンドの中で最も強力なエンジンを持つバンドを選ぶなら、The Crownは無視できない存在です。今なお語り継がれる名作、彼らが2000年にリリースした『Deathrace King』は、その演奏が生み出す異常な推進力を広く知らしめたアルバムでした。その秘密は、デスメタルの重厚さやスラッシュメタルのささくれだった鋭さだけでなく、ロックンロールのラフな粗さやノリの良さまで兼ね備えた独特のリフワークにあります。「殺人的な速さとパワー」に「キャッチーなノリの良さ」という刃を重ね、新たな切り口から楽しみをもたらしてくれた革命児、それがThe Crownというバンドです。デス&ロールと呼ばれたその音楽性は模倣困難なのかフォロワーも比較的少なく、それがまた一層彼らを孤高の存在へと押し上げています。

そんな彼らですがバンドの歩んだ道程は決して易しいものではなく、2004年に一度解散を経験しています。その後2010年に復活を果たしたものの、それから本作までにリリースした2枚のアルバムは解散前の作品と比べるとやや物足りなさを感じる出来でした。デスラッシュのアルバムとしては高品質でしたが、デス&ロールとしては十分ではなかったと思います。解散前の持ち味だったあの圧倒的なグルーヴが鳴りを潜めていましたからね。

どんな素晴らしいアーティストでも才能は枯れるもの…The Crownもそろそろ限界か、とあまり期待せずに購入した本作。バンドに土下座したくなる程の傑作でした。解散前の作品群と比べても遜色ない、いやそれどころか『Deathrace King』にも迫る極悪無比なデス&ロールの宝石箱。私はThe Crownというバンドを甘く見ていたようです。いや、ホントにすみませんでした…。

本作で最もパンチの効いている要素が何かと言えば、ドラムじゃないでしょうか。前作ではドラマーが脱退した影響でギタリストがドラムを叩いていたのですが、やはり専任の仕事は違います。Henrik Axelssonは本作から新規加入のドラマーですが、パワーもスピードも素晴らしいものです。圧が違いますよ圧が。それほど鬼気迫るドラミングを披露しています。そしてこのつんのめり気味のドラムがあってこそのデス&ロールだと痛感します。アルバムのっけからぎりっぎりの前傾姿勢のまま爆走していく様には、かつての勇姿が重なりますね。

どの曲も極めてハイクオリティで、The Crownの持ち味が活かされたものばかり。かつての名曲の思い出と共に本作を再生すれば、忽ち喜びに満たされるでしょう。速さ×重さ=強さを地で行くスーパー脳筋スタイルには変わりませんが、一方で演奏の多彩さであったり、#4. We Avenge!や#5. World War Machine、#9. Where My Grave Shall Standのような切り口の異なる楽曲があったりと、アルバムトータルとしての飽きにくさ、それに伴う完成度は若き時代からずっと進歩しておりもはや円熟の領域です。

かつてのファンの多くが諸手を挙げて喜ぶ内容じゃないでしょうか。The Crown復活後の代表作として最高に近い傑作に仕上がっていると思います。レコーディングエンジニアには『Deathrace King』以来となるFredrik Nordströmが就いている事も、まさにおあつらえ向きといったところですね。