Okada “Misery”

Country : USA

Release : 2018/4/6

Label : n5MD

Genre : Ambient

Samples : bandcampbandcamp(B-Sides of Misery)

Tracklist :

  1. Bury Me
  2. Unclothe
  3. Bruised and Bleeding
  4. Interstellar
  5. Transient Lovers  ★オススメ
  6. Guarded

Tracklist(B-Sides of Misery) :

  1. Your Love
  2. Deeper

米アラバマ州出身のGregory Pappasによるソロ・アンビエントプロジェクト”オカダ”。ZXYZXY、Greg Oaooas等の名義でも知られていますが、私は本作で初めて彼を知りました。更に2作品ほど遡ってアルバムを聴いてみましたが、どの作品でも1曲あたり10~20分ほどの尺を用い、静的なブレイクビーツと濃密なドローン、そして神秘的に揺蕩う女性ヴォーカリストの歌声が特徴であり、幻想的で美しいアンビエントミュージックを表現していました。ダウンテンポやエレクトロニカ、トリップホップ、ポストクラシカル等とクロスオーバーしている事で、アンビエントにしてはメロディーの輪郭が明瞭、その絶対的な美しさも相まって非常に聴きやすく仕上がっています。なぜ自らを日本由来に聞こえる”オカダ”と名乗るのか不明ですが、少なくとも、その音楽に込められたメランコリーには日本人の美意識をくすぐるような魅力があります。

本作『Misery』は少なくとも私が聴いた彼のディスコグラフィーの中では最も「女性的」な作品でした。それは単に女性ヴォーカルの出番が多いだけでなく、メロディーそのものが丸みを帯びていて、より女性的な包容力を感じさせるものだったから。そして本作の音楽性や意図は、そのジャケットアートが多くを表現しています。女性と、影、微かに差し込む美しい光。濃厚なメランコリーの奥に一縷の希望を潜ませる彼の奥ゆかしい音楽性は、本作で更にアップデートされています。濃霧のようなドローンに木霊する、ピアノの旋律や女性の歌声がとにかく神秘的で美しい。ビートも緩急が効いていてまるで退屈しません。本作を聴いていると、宇宙や深海のような当て所の無い空間を彷徨っているような感覚に陥ります。そして手探りで見出した安らぎの音は、不安を取り除く儚い幸福感となってじんわり染みていきます。その喜びが私の景色に一時でも優しいあかりを灯すなら、本作を愛好する十分過ぎる理由になります。

美しいサウンドスケープに心を癒されたい方には、是非ともオススメしたい傑作。あなたの憂鬱をゆっくりと解きほぐしてくれるでしょう。なおBサイドアルバムも販売されているので併せてどうぞ。こちらはAサイドとは違い軽やかなビート、シンセサウンドと不穏に傾いていくドローンが対比され、倒錯的な美しさが表現されています。