Rejjie Snow “Dear Annie”
Country : Ireland
Release : 2018/2/23
Label : Honeymoon / 300 Entertainment
Genre : Hip-Hop / R&B / Rap
Samples : Youtube
Tracklist :
- Hello
- Rainbows
- The Wonderful World of Dear Annie
- 23 ★オススメ
- Pink Lemonade
- Skinny Jasmine Intermission
- Mon Amour
- OH NO!
- Spaceships
- Egyptian Luvr (feat. Aminé & Dana Williams)
- The Ends
- Room 27
- Désolé
- The Rain
- Skateboard P Intermission
- LMFAO
- Bye Polar
- Charlie Brown
- Annie
- Greatness
アイルランド・ダブリン出身の若きラッパー、Rejjie Snow。二十歳の時にリリースしたデビューEP『Rejovich』(2013)がカニエ・ウェストを抑えてiTunesヒップホップチャートで一位をもぎ取り、それから一躍、時の人となりました。その後もシングルやEPを散発的にリリースし、デビューアルバムの機運も十分に熟してきた今日この頃。ついにリリースされた『Dear Annie』はヒップホップ、R&Bだけでなく、ソウル、ジャズ、ニューウェーブ、ポップまで広くカバーした、良い意味で彼らしくないカラフルな作品に仕上がっています。
鳥の鳴き声、朗らかな女性の歌、口笛、生楽器。ラジオDJ風の謎語り、ゆるっゆるのボイスパーカッション、ローファイシンセ、我々社畜の精神をヒールする要素がこれでもかと詰まっています。元々chillhop寄りの音楽を作る彼ですが、本作はとりわけ聴いていて「癒し」を提供してくれますね。
一部の楽曲(#4, #19, #20)では、ケンドリック・ラマーの『To Pimp A Butterfly』を手掛けたRahkiをプロデューサーに招いています。オーガニックな優しみに満ちた楽曲を、深みを持たせた迫真のサウンドスケープに仕上げていて、流石のお仕事をこなしておられます。彼を唯のアングラ系アーティストに留まらせないという気迫がひしひしと伝わってくるようです。
またアルバムジャケットの幼女は「ルシファー」なのだとNMEのインタビューで語っています。Annie dollという実在する人形に子供時代のトラウマがあるらしく(調べたら確かに子供心には恐い人形かも…)、文字通りかつては悪魔のような存在だったのかもしれません。しかし本作における彼女の役割はシンボルであり、告解所における聞き手です。Rejjie Snowが経験した楽しい思い出や、けじめをつけたい苦々しい思い出を告白する対象として佇んでいます。本作のバラエティー感に富んだ作風はこういったコンセプトに因るものが大きいのではないでしょうか。いずれにせよ、カラフルなだけでなく極めて高いクオリティーを備えた本作。ヒップホップに慣れていなくとも、ポップスとしても楽しめる懐の深さ、素晴らしいという他ない傑作でした。
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