Ghost-Note “Swagism”
Country : USA
Release : 2018/4/20
Label : Ropeadope Records
Genre : Jazz / R&B / Soul / Funk
Samples : bandcamp
Tracklist :
- Jibble Jabble
- Swagism
- Pace Maker
- Fragile
- Weedie B. Good
- Milkshake
- Smack ‘em
- Lookin’ at the World
- Shrill Tones
- Dry Rub ★オススメ
- Bawllz
- No More Silence
- What’s Next?
- Funk You Muthafunka
- Nod to Dilla
- The Lone Angel
- Nigel Duke
- Trifelife
Snarky Puppyのメンバーでもある二人のドラマー&パーカッショニストを中心としたバンドGhost-Note。新作は圧倒的なボリュームとクオリティーを兼ね備えています。前作『Fortified』(2015)は打音のみによる表現力の限界を目指したような作品で、それ以外の装飾音は最小限に留められていました。演奏はひたすらに即興的。特定のジャンルにはとても収まらないグルーヴミュージックを披露し、他のどんなアルバムよりも強烈な個性を放っていました。
そんな前作に続くのだから、本作もフリーキー極まる作風なのかと思いきや、これが全く違う。むしろ曲それぞれに特定のジャンルからの影響を強く感じます。この曲はジャズ、この曲はファンク、これはソウル、フュージョン、ヒップホップ、R&B…といった具合に。ジャンルの枠組みからも自由だった前作からのファンは大きな戸惑いを覚えるはずです(私もそうでした)。演奏も前作で見せたようなドラムとパーカッションの独壇場という訳ではなく、ギターやベース、ブラス、キーボードなど多彩な楽器に等しく活躍の場が与えられていて(特に本作のベースは凄い事になってます)、前作程の即興音楽的な性質はありません。
型にはまっている。前作と安直に比較すればこの一言に尽きるのですが、私はそれをネガティブな意味で捉えてはいません。むしろ彼らの進化の過程を想像するなら真っ当な選択だと思うから。ミュージシャンとして安牌をとったのではなく、敢えて型にはまってみせたんじゃないかと。それも何か一つのジャンルではなく今のジャズを取り巻く多彩な音楽ジャンルにアクセスしているあたり、まだ模索中の段階にあるのだと容易に想像できるし、非常に実験的な作品だと思っています。
Kamasi WashingtonやNigel Hallを筆頭に、素晴らしいゲストミュージシャンを多数招いて制作された本作は、どの曲にも上質なクオリティーと存在感が備わっています。引き締まった打音がトロピカルで開放的なメロディーラインを引き締め、これ以上なくオシャレなブラックミュージックに仕上げる様は、ドラマーとパーカッショニストを主役に据える彼らにしか出来ない芸当でしょう。上で型にはまっていると述べましたが、オリジナリティーは欠片も失われていません。
洗練されたブラックミュージックをお探しの方には是非手に取って欲しい逸品。一聴した衝撃度ならば前作かもしれないけれど、長く愛聴できるのは間違いなく本作です。
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