小袋成彬 “分離派の夏”

Country : Japan

Release : 2018/4/25

Label : ソニー・ミュージック

Genre : Pop / R&B

Samples : Youtube

Tracklist :

  1. 042616 @London
  2. Game
  3. E. Primavesi  ★オススメ
  4. Daydreaming in Guam
  5. Selfish
  6. 101117 @El Camino de Santiago
  7. Summer Reminds Me
  8. GOODBOY
  9. Lonely One feat.宇多田ヒカル
  10. 再会
  11. 茗荷谷にて
  12. 夏の夢
  13. 門出
  14. 愛の漸進

「宇多田ヒカルプロデュース」という話題性に釣られ、彼のアーティストとしての遍歴も知らぬまま何となく聴いてみた本作。聴き終えてみれば、「宇多田ヒカル」というワードは頭の中から綺麗さっぱり消え。ただ小袋成彬というアーティストに魅了されている自分がいました。

音楽的にはThe WeekndやFrank Oceanのような、浮遊感のあるアンビエントR&Bをベースに、日本の歌謡曲、フォーク風の歌メロが乗る和洋折衷な作り。R&BとJ-Popの融合そのものは今となっては珍しくありませんが、しかしデビュー当時の宇多田ヒカルに通ずるものでもあります。一方、歌い方や歌メロには玉置浩二っぽさを感じる部分があったり。もしかしたら、リスペクトされているのかもしれません。

歌詞は殆ど日本詩で、ひたすらに内省的。社会に何かを訴えかけたい、他社を啓蒙したい、そんな外部への指向性は全く感じられず、ただただ等身大の自分を曝け出し、それを一つずつ認めていく。そんな地道とも言える作業がアルバムを通して行われているように感じます。ありのままの自分を認めるというのは苦行だと思うのですが、驚くほど流暢な語り口で、それがいっそ心地良さをを与えてくれます。#5. Selfishでは「突き放してくれ」と歌い、#9. Lonely Oneでは「I don’t wanna be the lonely one(ひとりぼっちになりたくない)」と歌う。そんな粋なギミックもあり、とても人間的な濃密さがあって、心に染みるものも大きくなります。

穏やかながらも力強い自分語りを通じて、ありのままの自分を認める寛容さを「私」に投影してくれるアルバム。音楽の完成度も凄まじく、彼が今年の国産音楽を巡る台風の目になるような気がしています。