Lunatic Soul “Under the Fragmented Sky”
Country : Poland
Release : 2018/5/25
Label : Kscope
Genre : Progressive Rock / Electronica
Samples : Youtube
Tracklist :
- He Av En
- Trials
- Sorrow
- Under the Fragmented Sky ★オススメ
- Shadows
- Rinsing the Night
- The Art of Repairing
- Untamed
最も敬愛するソングライターが、立て続けに新作をリリースしてくれる事に勝る幸福はありません。過去最高作として金字塔を打ち立てた前作『Fractured』を補完し、且つ独立した芸術作品でもある本作。前作のディストピアでメロウな作風を受け継ぎながら、よりエレクトロニカ/アンビエントに傾倒したアトモスフェリック・レコードに仕上がっています。前々作、前作は辛うじてバンドサウンドとしての体裁が保たれていましたが、本作はそれもかなぐり捨て、殆ど完全な打ち込み音楽と化しました。しかし一方で、マリウス・デューダ自身の歌声、アコースティックギターや銀盤の美しい調べもまた健在。またそれらが際立ったアクセントとなって、オーガニックとエレクトリカルのよりシームレスな移ろいを実現しています。結果として、退廃と美が支配するLunatic Soulの世界観は欠片も失われるどころか、よりスケールアップして帰ってきたと言えます。
さて、本作には#4. Under the Fragmented Skyと#8. Untamedという二つのハイライトが待ち受けています。このメロディアスな2曲は仄暗い雰囲気の本作において灯台の光のような存在ですが、それ以上に、その時点までのアルバムの流れを決着させるような役割を備えています。私個人的な聴き方ですが、#1~#4、#5~#8をそれぞれ1曲とみなしています。その方が本作という旅程に感情移入できるし、それを終えたときの感動もひとしおだからです。皆さんもこの作品を再生するときは、一度このような聴き方を試してみる事をお勧めします。きっと素晴らしい体験になりますよ。
上に述べた2曲以外にも、不可思議なコーラスのループが印象的な#1、心地良いミニマルビートが癖になる#2、アラビアンなギターフレーズが妖しく揺蕩う#5など、目新しい要素にも満ちていて、独立したニューアルバムとしてリリースした事も理解できるとても濃密な内容。約35分という短いランタイムですが、本作に込められた情報量、趣深さは前作に引けをとりません。引き続き、彼の創作意欲が凝縮した作品というべきでしょう。
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