Obscura “Diluvium”

Country : Germany

Release : 2018/7/13

Label : Relapse Records

Genre : Progressive / Technical Death Metal

Samples : bandcamp

Tracklist : 

  1. Clandestine Stars
  2. Emergent Evolution
  3. Diluvium
  4. Mortification of the Vulgar Sun
  5. Ethereal Skies
  6. Convergence  ★オススメ
  7. Ekpyrosis
  8. The Seventh Aeon
  9. The Conjuration
  10. An Epilogue to Infinity
  11. A Last Farewell (Bonus Track)

DeathやCynicといったデスメタル界隈の「知の巨人達」の遺伝子を受け継ぎ、『Cosmogenesis』(2009)に端を発する哲学的テーマの連作によって、シーンの最前線に君臨するObscura。この界隈では珍しくもありませんが、激しいメンバーチェンジという痛みを繰り返しながら、常に一定以上のクオリティーの傑作を投下し続けてきました。今やテクニカル・デスメタル界隈では、彼らの右に出るものは居ないといっても過言では無いかもしれません。しかしそんな状況でも彼らは停滞を良しとせず、前作『Akroasis』(2016)ではプログレッシブ・メタル方面に大きく舵を切り、これまでの作品群を超える多彩なアンサンブルを披露します。DeathとCynicとOpethの共演に興奮しないデスメタラーはいるでしょうか?まさにこの言葉を体現したかのような芸術性と凶暴さの同居したデスメタルで、圧倒的な賛美と共に受け入れられた『Akroasis』は一部から「最高傑作だ」とすら評されるようになります。また、それは多くのファンにとって次作へのハードルが際限なく上がったという事でもありました。

『Akroasis』から2年ぶりにリリースされた本作『Diluvium』は、『Cosmogenesis』から続く哲学的4部作の最終章を飾る作品であり、その役割に恥じない最高級のクオリティーを備えています。前作から更にプログレ化が進み、ブラッシュアップによって散漫な部分が無くなり引き締まった作風に仕上がりました。メンバーはギタリストに変更があり、現在はRafael Trujilloなる人物に。また、前作では作曲の役割を唯一のオリジナルメンバーであるSteffen KummererとベーシストのLinus Klausenitzerでほぼ分け合っていましたが、本作はその偏りがなくなり、メンバー全員が均等に作曲に携わるようになっています。

前作は圧倒的に音の良くなったドラムと、楽曲がプログレ化して縦横無尽に弾き倒すフレットレスベースが印象的でした。対して本作で最も印象深かったのは、今回メンバー交代のあったギター。とにかく「メロディアス」なんです。2曲目Emergent Evolutionや6曲目Convergenceでの抒情ギターソロなんか感涙もの。そして「クリア」。ノイズが少なくタイトなリフワークはデスメタル的では無いかもしれませんが、プログレッシブメタルとして聴けば実に違和感なく受け入れられます。Opethの『Ghost Reveries』を彷彿とさせるキレの良いギターリフがテクデスの速度で繰り出されるようなものだから、プログレッシブメタルのファンならきっと正気を保つのに苦労することでしょう。

次に印象的だったのはコーラス。前作と同じくヴォコーダーを通しており、使用頻度も増えているように思います。フレットレスベースと合わせて演者のCynic愛がビシビシと伝わってきますね。特に5曲目のEthereal Skiesなんて、Cynicの新曲と言ったら誤魔化せるかもしれない。それでも、すべての曲にしっかりとオリジナリティーが付与されており、紛れもない「Obscuraの楽曲」に昇華されているのは流石といったところ。

レコーディング・エンジニア及びプロデューサーはこれまでと同じくV. Santuraが務めます。本作においてデスメタルよりもプログレッシブメタル寄りのサウンドプロダクションに大きく変えた彼こそ、影のMVPと呼ぶべきかもしれません。

概念的4部作が遂にフィナーレを迎えましたが、尻すぼみではなく、更なる進化を予感させるファクターに満ちていました。停滞を許さない彼らは、きっと「本作で一区切り」だなんて考える事もないのでしょう。本作という最高到達点を叩き出した彼らが、次にどんな驚きをもたらしてくれるのか、今から楽しみでなりません。