Crippled Black Phoenix “Great Escape”
Country : UK
Release : 2018/9/14
Label : Season Of Mist
Genre : Macabre Rock / Progressive / Art Rock / Metal
Sample : bandcamp
Tracklist :
- You Brought It Upon Yourselves
- To You I Give
- Uncivil War (Pt. I)
- Madman
- Times, They Are A Raging ★オススメ
- Rain Black, Reign Heavy
- Slow Motion Breakdown
- Nebulas
- Las Diabolicas
- Great Escape (Pt. I)
- Great Escape (Pt. II)
ドゥーム、ストーナー、プログレ、ポストロックに始まり、ハードロック、サイケ、フォーク、ゴスロックに至るまで、表現したいものに応じて自在に姿を変えるCrippled Black Phoenix。彼らが作曲する時は、まずどんな制約も設けず、過去のどんなレコードからの参照もなく、ただ頭の中に降りてきた心象風景を音楽としてアウトプットする…そんな作業が行われているらしい。まるでイタコのようですが、なればこそ彼らの音楽が唯一無二足りえるのかもしれません。そんなプロセスで制作されるものだから当然、特定のジャンルに当てはまらない音楽性。レーベルのSeason Of Mistは「Macabre Rock」と表現しますが、彼らを一言で表すにはそのような、彼らだけの称号を用意する必要があるのです。
『Great Escape』、この白い闇、幽かに輝く月光のような音像を高い精度で生み出した本作は、間違いなく彼らが傑作の一つとして評価されるべき作品だと思います。本作がリリースされるまでの個人的な最高傑作は『No Sadness Or Farewell』(2012)だったのですが、それと並べて評したいほど本作は耽美的であり、重々しく、幻想的な美しさに塗れています。北欧のゴシックメタルバンドすら顔負けの抒情性ですから、Katatoniaの新作を待ち続ける読者などにもお勧めしたいですね。また、鬱屈として深刻な仄暗さに満ちていた前作『Bronze』(2016)と比べると、幾分かの光が差し込み、救いを感じられる内容となっています。
特に#2. To You I Giveのたおやかで且つ強かな重み、#5. Times, They Are A Ragingの霧に溶けるような静謐と麗しさ、#7. Slow Motion Breakdownのエモーショナルに嘶くギターフレーズ、#8. Nebulasのフィメールヴォイスとギターリフレインによる幻想的なカーテン、#10. Great Escape (Pt. I)及び#11. Great Escape (Pt. II)の、祈りのように深く幽遠な歌。これら多くのハイライトによってアルバム全体にメリハリが生まれ、ストレス無く聴き通すことが出来るようになっています。
前作も良い内容でしたし、調子づいた彼らの更なる躍進が楽しみになりますね。Crippled Black Phoenixを初めて聴くという方や、今までどうもハマれなかったという方でも是非挑戦して欲しい、素晴らしい内容のアルバムです。パイオニアとしてのロックの灯はまだ燃え続けています。少なくともCrippled Black Phoenixが生き続ける限りは。
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