Noname “Room 25”

Country : USA

Release : 2018/9/14

Label : – 

Genre : Hip Hop / Rap / Soul

Sample : bandcamp

Tracklist : 

  1. Self
  2. Blaxploitation
  3. Prayer Song Feat. Adam Ness
  4. Window Feat. Phoelix
  5. Don’t forget about
  6. Regal
  7. Montego Bae Feat. Ravyn Lenae
  8. Ace Feat. Smino & Saba
  9. Part of me Feat. Phoelix & Benjamin Earl Turner
  10. With you
  11. no name Feat. Yaw & Adam Ness  ★オススメ

1991年9月18日シカゴに生まれたファティマ・ニーマ・ワーナーあらためNonameは、ラッパーであると同時に詩人である。ジャジーヒップホップやネオソウル風の旋律に、ラップとポエトリーリーディングの二束草鞋で鍛えられた柔らかな口語調のフロウが乗る。エアリーで威圧感の欠片も齎さないラップは、私の様な文系リスナー(ついでにヒップホップ初心者)にも容易く馴染んでくれます。

しかし穏やかな曲調の一方で、歌詞は中絶、黒人に対する暴力、そして死についてなど重暗さを感じさせるものがあります。実際に聴いている時は歌詞に対して想いを巡らせることは殆どないのですが、ポップな曲でもどこか陰気な印象を受けるのはそんなテーマを取り扱っているからなのかもしれません。

チャンス・ザ・ラッパーのミックステープへの出演などで耳の早いリスナーから注目を集めていた彼女ですが、2年前にNonameとして初めてリリースしたミックステープ『Telefone』は特に大きな反響があり、世界中から絶賛の嵐を受けます。以降、コーチェラ・フェスティバルへの出演や初来日公演など彼女を取り巻く環境は大きく変わりました。

『Room 25』という名は、そんな多忙な状態でホテル生活を余儀なくされていたこと、加えて当時25歳であった事が由来とされています。そして本作までの2年間における自分自身を写した極めてパーソナルな作品とのこと。作風は大まかには前作を踏襲しつつも、生音が増えてよりオーガニックに、より感情的でカラフルな歌を聴かせてくれます。サウンドプロダクションもクリアになり、ローファイな前作から一気に垢ぬけ、洗練されたアーバンヒップポップ/ソウルと化しました。歌詞はかなり肉感的で(思わず顔を顰めたくなるような)生々しい表現もあった気がしますが、同時にそんな自分を受け入れよう!という意志も伝わってきます。特にラストナンバーではそれが顕著に、健気に表現されているように感じました。

どんなに酷い社会でも、恵まれない出自でも、名無しですらあっても、自らの存在理由を認め、アイデンティティを確立していれば人生に喜びや愛といった光を灯すことも出来る。そんな当たり前のようで難しい金言を確認することが、『Telefone』によって大きくプライベートを削られた筈の彼女にとって重要だったのかもしれません。2年間で培われた鬱憤がいつもより開放的な音楽となって爆発した、前作に負けず劣らずの快作です。