Omnium Gatherum “The Burning Cold”

Country : Finland

Release : 2018/8/31

Label : Century Media Records

Genre : Melodic Death Metal

Sample : Youtube

Tracklist : 

  1. The Burning
  2. Gods Go First
  3. Refining Fire
  4. Rest in Your Heart
  5. Over the Battlefield
  6. The Fearless Entity  ★オススメ
  7. Be the Sky
  8. Driven by Conflict
  9. The Frontline
  10. Planet Scale
  11. Cold

ドイツのセンチュリー・メディア・レコードへの移籍第1弾となる8作目は『The Burning Cold』と名付けられました。Omnium Gatherumの新たな門出に相応しい、実に良いアルバムタイトルだと思います。彼らの音楽はたちまち北欧の厳しい冬を発現しますが、それは悴むような冷気だけでなくそこで生き足掻く男達のパトスをも乗せた、文字通り「The Burning Cold」な音楽だから。北欧を生誕の地とするメロディック・デスメタル、少なくとも20年以上の歴史を刻んだその音楽性が標榜する究極の形を体現出来る猛者の一つが、Omnium Gatherumというバンドなのです。

レーベルを移籍した事以外、本作にどのような変化があったでしょうか。まずドラマーが長年務めてきたJarmo Pikkaから、Tuomo Latvalaに変わっています。彼はHateformなどに在籍した経験もあり、時にはブラストビートも交えた非常にパワフルでグルーヴィなプレイを披露してくれます。煌びやかなギターフレーズがドラムによって嘗てなく躍動しているのを聴くと、ドラムの交代劇は間違いなくバンドにとってプラスに働いたと言えます。

次に楽曲の尺が安定しているという点を挙げたいと思います。最近の作品には9~10分近くの曲が2つくらいあったり、そうでなくとも7~8分の曲が普通に混ざってました。本作にはそれが無い。最も長い曲でも6分を超えない。全体のランタイムは前作・前々作と比べると5分ほど短くなり、凸凹が消えてフラットになりました。とにかくテンポよくアルバムが進行していくから、いつの間にか最終曲に差し掛かっているという事もざら。一方で各々の楽曲の完成度は高まっていて満腹感はとても大きい。結果として、多くのリスナーにヘビーローテーションを齎してくれると思います。

作風はこれまでと比べて大きな変化はありません。相変わらず王道のど真ん中を突き進むメロディック・デスメタル。氷原でかき鳴らされたかのような透き通った美メロの応酬、火山の噴火したようなグロウル、巨人のように筋肉質になったドラム、それぞれがレベルアップしてカリスマ性をも感じさせる音楽になりました。余りにメロディーがキャッチーなので、人によってはメロディックメタルやパワーメタルとの親和性を感じるリスナーもいるかもしれません。またプロデューサーやミキサーの顔ぶれも変わりませんが、音造りは更に磨き上げられ、前作よりも深みや広がりの増した音像となっています。特にキーボードのオーロラ感が凄いです今作。

ファンならばマストバイの傑作です。またメロディック・デスメタルだけでなく幅広いメタルファンにアピール出来る懐の深さがあります。しかし彼らの音楽を聴いていると、音楽性を維持してそれを常にアップデートし続けてくれる事の有難さが身に染みます。歴史的に新しいも古いも関係なく、信頼できる職人の手塩にかけた創作物こそが美しい。そんな当たり前の事を本作はあらためて思い出させてくれました。