VOLA “Applause Of A Distant Crowd”

Country : Denmark

Release : 2018/10/12

Label : Mascot Records / Mascot Label Group

Genre : Progressive Metal / Djent

Sample : bandcamp

Tracklist :

  1. We Are Thin Air
  2. Ghosts
  3. Smartfriend  ★オススメ
  4. Ruby Pool
  5. Alien Shivers
  6. Vertigo
  7. Still
  8. Applause Of A Distant Crowd
  9. Whaler
  10. Green Screen Mother

デンマークの首都コペンハーゲンから現れたプログレッシブ・メタルバンド、VOLA。彼らが才能に富んだ集団であることは1stフルレングス『Inmazes』(2015)の時点で明らかでした。PeripheryやTesseracTのような歌の比重が大きなDjentという点では珍しくないけれど、歌以上にユニークな演奏が他の没個性的なバンドと一線を画していました。古き良きプログレッシブ・ロックに始まり、Djentを経由し、アンビエントに至るまで流れるようにスイッチングしながら生み出される、絢爛さときめ細やかさが同居した銀河的サウンドは新人にして唯一無二。そんな1stフルの翌年にはKatatoniaのヨーロッパツアーに帯同し、更に翌年は大手プログレ誌が主催するアワード(Progressive Music Awards)で新人賞にノミネートするなど、シーンの期待を背負う新星に名実ともに成り上がっていきました。

3年というスパンは、ファンを適度に焦らし期待感を最高潮に引き上げる。その上がり切ったハードルを『Applause Of A Distant Crowd』は易々と超えていきます。作風そのものに大きな変化はないものの、前作と比べて演奏の振れ幅が更に広がり、オルタナロック、エレクトロミュージック、ポップスの領域にまでかなり大胆に切り込んでいます。ギターやドラムの音圧が控えめになった代わりに銀盤やコーラスが躍動していて、全体的に非常に軽やかでキャッチー。かつ前作程のマッチョイズムは無いけれど、生み出されるグルーヴには些かの衰えも感じられません。今の彼らは純粋なヘヴィメタルというより、エクスペリメンタルロックとかポストプログというべき存在かもしれない。また前作からツアーを共にしたKatatoniaからの影響もあるんじゃないかと。サウンドの静動のバランスとか、ヴォーカルの歌いまわしやコーラスの重ね方が似てる気がするんですよね。

ヘヴィネスとアトモスフィアが同居した美しいプログチューン#1. We Are Thin Airに始まり、余りにポップなシンセサウンドで度肝を抜かれること必至な#2. Ghosts、ゴリゴリのDjentリフと対比的に儚げに揺蕩う歌の美しさが映えるダークチューン#3. Smartfriend、深いリバーブの闇に妖艶な旋律が揺蕩う幻想のバラード#4. Ruby Pool、打ち込みのアンビエントパートとサビのエモーショナルな叫びの対比が映える#5. Alien Shivers、ビートを完全に排除したフラットなVOLA流ダークアンビエント#6. Vertigo、澄んだメロディーを紡ぐシンセとヴォーカルに牽引され、放射的に展開していく強力なプログメタル#7. Still、どこか牧歌的な暖かさをもたらしてくれる歌とギターのメロディーが染み入る#8. Applause Of A Distant Crowd、サビの美しいファルセットボイスが霊的な心象を齎す#9. Whaler、ラストは銀盤とアルペジオギターが主役の物悲し気なバラード#10. Green Screen Motherでアルバムの幕がおります。

もしかしたら、本作の後に前作を聴くと「単調なアルバム」と感じるかもしれない。それ程本作における進化は凄まじいものです。美しく構築されたロックを求めている方は是非チャレンジしてみて欲しい逸品。