Anne Marie Almedal “Lightshadow”

Country : Norway

Release : 2018/10/26

Label : +47

Genre : Folk / Art Pop

Samples : Youtube

Tracklist : 

  1. You Keep Me at Arm’s Length
  2. Here Comes the Train
  3. Lovesong
  4. Into the Shadows  ★オススメ
  5. Oh Hard Times
  6. Sheltering Sky
  7. One Step
  8. My Dream Will Never End
  9. Travelling
  10. Answer Me Now

前作『Memory Lane』で初めて触れた、彼女の音楽に魅了されて6年になります。北欧で奏でられる澄み切ったサウンドと、雪解けをもたらす日差しのように優しい歌声。飾り気よりも素朴さが目立つ、田園的で抒情的なフォークポップはその年に聴いたどんな音楽よりも美しかった。出会いのきっかけが何だったのかもう思い出せませんが、あの時の感動を忘れられないまま新作を待ち続けていました。だから、本作がリリースされたと知った時の喜びと言ったらなかった。

アン・マリー・アルメダルは、ノルウェー最南の都市クリスチャンサン出身の女性シンガーソングライター。こうしてソロ名義で活動する以前は、Velvet Bellyというバンドでヴォーカルを務めていました。ポップバンドとしてカテゴライズされていますが、シューゲイザーのようなギターサウンドが特徴的なバンドです。2003年にバンドは解散しましたが、2007年にはソロ名義での1stアルバム『The Siren And The Sage』をリリース。その後も少しずつ作品を重ねていき、本作は4作目。また映画やテレビ番組への楽曲提供も積極的に行ったりもしています。プライベートでは2000年にイギリス人作曲家/DJのニコラス・シリトーと結婚しており、今は2人の子供と共に生まれ故郷のクリスチャンサンで暮らしているそうです。

ロックバンドVelvet Bellyで培った儚げで美しい世界観を受け継ぎながら、ソロ名義では生楽器主体のフォークミュージックとなりました。アコースティックギター、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスといった多彩な弦楽器、ピアノ、そして勿論、アンの歌が紡ぎだす旋律はまるで雪国の銀世界がもたらす侘しい風情そのもの。その魅力はソロデビュー時から今日まで、一貫して変わらないものです。

そのうえで、本作『Lightshadow』は過去最も挑戦的なアルバムに仕上がっています。タイトルやジャケットアートが示す「光」と「影」のコントラスト、その対比を楽しむ異色の作風だからです。リバーブを深くかけて音の数を絞り、打ち込みも導入して一気にモダンに洗練されました。とはいえエレクトロミュージックと化した訳ではなく、根っこにはフォークミュージックが息づいています。生楽器の美しい旋律は本作の立体的な空間の中でも依然として躍動しており、涼やかで哀愁に満ちたメロディーも健在。メロディーはむしろ今のスタイルになった事でより表現の幅が広がった気がします。アンの歌唱もスマートに響くようになり、本作の挑戦は彼女の魅力を大いに伸ばす結果となりました。

6年待った甲斐があったと十分に思わせてくれる好内容です。フォークミュージックからアートポップへの変遷を予感させてくれる、衰える事のない創作意欲と高いクオリティーを同時に示した快作と言えるでしょう。