Vulfpeck “Hill Climber”
Country : USA
Release : 2018/12/7
Label : Vulf Records
Genre : Funk / Soul / Pop
Sample : bandcamp
Tracklist :
- Half of the Way (feat. Theo Katzman)
- Darwin Derby (feat. Theo Katzman & Antwaun Stanley)
- Lonely Town (feat. Theo Katzman)
- Love is a Beautiful Thing (feat. Theo Katzman & Monica Martin)
- For Survival (feat. Mike Viola)
- Soft Parade
- Lost My Treble Long Ago
- Disco Ulysses (Instrumental)
- The Cup Stacker
- It Gets Funkier IV (feat. Louis Cole) ★オススメ
年末はこれを聴くまで総決算出来ねえ、と思うほどに楽しみにしていたVulfpeckの新譜。期待通り、いや期待以上のクオリティーで大満足しています。かつてはツアーの資金調達のため、Spotifyで「無音」のアルバムをリリースしたり(要は「寝てる間に再生してお金ちょうだい!」→3年程して流石に削除された模様)、MVでパンケーキをパーカッション代わりにしたり、サッカーコートを貸し切って20分を超えるふしぎなおどりを披露してきた彼ら。この不真面目…いや、肩の力を抜いたスタイルが音楽にも表れていて、ミニマル・ファンクと呼ばれる事もあるようです。彼らのDNAには60年代~80年代の旧き良き音楽が深く刻み込まれていて、ファンクに限らず古今のジャズやR&B、ポップスの素養を経由して生み出される羽の生えたような音楽は、レトロな趣とモダンな鋭角性の両方を兼ね備えています。頻繁にカッティングを交えたギターフレーズのクリーントーンや、跳ねるようなアクセントでグルーヴの洪水を容易く起こすドラムも勿論良いですが、このバンドは何よりベースが魅力的。ベコベコとこもった音がどこか可愛らしくて、これでアグレッシブに弾き倒されるともうベースしか聴けない耳になっちゃう。これがギャップ萌えというやつですか(多分違う)。
前作はデイヴィッド・T・ウォーカーやジェームス・ギャドソンなど、一体どんなコネで繋がったのか全く想像できないレジェンドプレイヤーを初め、多数の実力派をゲストに招いたゴージャスなアルバムでした。本作も前作程ではないにせよ豪華なゲストを招いています。個人的に今作最も興奮したコラボレーションはルイス・コール。彼自身、今年素晴らしい新譜をリリースしましたからね。彼の変態ドラムテクを交えた高速ファンク#10. It Gets Funkier IV は必聴です。
アルバムの大まかな流れですが、前半部にはヴォーカル入りのR&B風ナンバーが並びます。ここでは彼らのポップミュージシャンとしてのセンスが光っています。キャッチーな歌メロと、軽快なリズムセクション。リラックスして身を委ねる事が出来ますね。一方、後半はインストオンリー、たっぷりのグルーヴで縦横に揺らす楽曲が詰まっています。こちらは彼らの演奏家としての本領が発揮されていますね。上述したルイス・コールとのコラボナンバーをはじめ、インストの強みを最大限生かした自由なアンサンブルが魅力。本作は彼らの器用さ、万能さが顕著に表れているように思います。
ゲストは前作の方が豪華かもしれないけれど、アルバムとしての魅力は本作の方が上回っています。ファンクなんだけどポップスのようにキャッチーで、全く敷居の高さを感じさせないのが彼らならでは。今後更にブレイクするポテンシャルを十二分に見せつける傑作です。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません