Dave “Psychodrama”

Country : UK

Release : 2019/3/8

Label : Neighbourhood Recordings

Genre : Hip Hop / Rap

Sample : Youtube

Tracklist : 

  1. Psycho
  2. Streatham
  3. Black
  4. Purple Heart
  5. Location (feat. Burna Boy)
  6. Disaster (feat. J Hus)
  7. Screwface Capital
  8. Environment
  9. Lesley (feat. Ruelle)  ★オススメ
  10. Voices
  11. Drama

2016年に『Six Paths』、翌年に『Game Over』というEPをリリースしていますが、彼の音楽に触れたのは本作が初めて。来る1stフルアルバムである本作には、20歳弱という若さというにはおよそ似つかわしくない内向的な美しさが宿っていて、ヒットチャートで頂点を勝ち取ったという功績も納得のクオリティーを誇っていました。ストリータム出身の若き才能に、英国中が夢中になっています。

タイトルとなった「サイコドラマ」は心理療法の一種。文字通り演劇を通じた集団精神療法であり、患者に課題解決を必要とするドラマを即興で演じさせ、自己表現を通じて心理的葛藤を浮き彫りにするのだとか。また現在、刑務所に収監されている彼の兄が受けているセラピーもこのやり方であり、兄の経験談もまた本作に多くのインスピレーションを与えたとのこと。

本作の冒頭では、セラピストらしき人物から診療開始の合図が行われます。それに応える形で患者(=Dave)は緊張した家庭環境や人種差別などに関して暗い体験談を綴っていきます。シリアスなテーマに、ミニマルなサウンド。緩やかなトラップ系のビートと、メランコリックなピアノ、ストリングスの旋律だけが木霊する幽寂な空間は、彼の鬱屈とした語り口に驚くほどマッチします。悲壮なテーマの筈なのに、聴き終わった時はどこか洗い流されたような気分になったのは、この繊麗なサウンドスケープによる部分が大きいのだと思いました。

個人的なハイライトは、11分を超えるビートレスの大曲#9. Lesley。男性から虐待的な扱いを受ける女性を描いたという曲で、有り余るほどの物悲しさ全てが美しさに昇華されている、作中最もドラマティックな1曲。それ以外も全編を通じてメロディーが粒だっていて聴き易いので、ヒップホップを普段聴かない層にも是非お勧めしたい秀作です。