Bill Laurance “Cables”

Country : UK

Release : 2019/3/8

Label : Flint Music

Genre : Jazz / Electronic

Sample : bandcamp

Tracklist : 

  1. The Keeper
  2. HAL
  3. Singularity
  4. Ebb Tide
  5. Cables
  6. End of Scarcity  ★オススメ
  7. Constance
  8. Cassini

彼の所属する本家Snarky Puppyよりも気に入っているBill Lauranceの新譜。本作で彼は初めてバンド形態から脱し、全ての楽器を自ら演奏する名実込みの「ソロ」アルバムに挑んでいます。シーケンサーやフィールドレコーディングを活用しこれまで以上にアンビエント、エレクトロニック・ミュージックへ接近した本作には、無機質でドライなモダニズムが漂います。一方でその音色は余りにも情緒深く、柔らかくて。そのギャップ、揺らぎがどうしようもなく僕の心を動かし、音楽に没入させてくれるんです。

SF映画の金字塔「2001年宇宙の旅」や実在の土星探索機「カッシーニ」を引用しながら、技術的特異点や、自然と人工物の闘争、ナノテクノロジーなど、私たちの思い浮かべるテクノロジーの進化やヒトとの連関を記したという本作。電子アクセサリーをふんだんに纏ったビルがその依り代となって、冷たくも暖かい瞑想の為のエレクトロニック・ジャズを奏でます。この手のコラボレーションはどうしてもダンス方面を連想しがちですが、本作はむしろチル、アンビエントにごく近い音像。夜間や就寝時、精神を落ち着けたい時のBGMとしてはこれ以上ない親和性があります。

前作がアフロビートをリスペクトした明らかなダンスミュージックだったため、本作の変貌ぶりに戸惑うファンも居たかもしれません。しかし彼が一度として同じ作風の作品をリリースしてこなかったこと、そして彼の旺盛な実験精神を考えれば納得できる内容だと思います。何より依然として美しい旋律の数々と、エレクトロニック・ジャズとしての極まった完成度を鑑みれば、本作もまたフェイバリットレコードに加わるのが道理です。